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ラスクマルのあそこ ③の写真

更新日:2025.10.03ラスクマルのあそこ ③

更新日:2025.10.03

ラスクマルのあそこ ③

引き続き側頭腺分泌のお話です。

(前回のブログはこちら:「ラスクマルのあそこ②」)

 

ラスクマルは今年35歳になりました。ゾウの年齢は人間に換算しても同じぐらいでしょうか。もう中年になるラスクマルもしっかり側頭腺分泌をともなう気の荒くなる時期が来ます。この時期のことをマスト(ムストとも)といいます。

ラスクマルの場合は7月ごろに始まって翌年の2月ぐらいまでその状況が続きます。ほぼ1年の半分がこの時期に該当し、強く出たり弱まったりしながら続きます。

この出現時期はゾウによって違い、金沢動物園のボン(49歳)はマスト期40日、非マスト期70日の1サイクルを1年のうち何回か繰り返します。

金沢動物園のボンは繰り返す.jpg

ボンは立派な牙の強そうなオスですね。側頭腺もたくさん分泌しています。

ラスクマルやボンのように自分の周期があるゾウもいれば、一緒に生活しているメスの性周期に合わせて出現するゾウもいます。また、そもそもそういう時期がないオスゾウもいたり、ゾウによっていろいろです。

このようにゾウのマストのことはよくわかっていません。なぜあるのでしょうか。

本来他のオスたちに力負けしてしまうオスでも、その時期は気が荒くなるため繁殖の機会を得ることができ、それにより遺伝的多様性が保たれると想像している人もいます。

ゾウは動物園において身近な動物ですが、実はわからないことがたくさんあります。

 

( 飼育展示係   栗原 )