更新日:2025.12.31ヤマネコバックヤードだより~3頭の様子~
ヤマネコバックヤードだより~3頭の様子~
よこはま動物園は、環境省が(公社)日本動物園水族館協会と共に進めているツシマヤマネコの保護増殖事業に参画しています。
今年も本事業における飼育下繁殖計画に基づき、ツシマヤマネコの園館移動が実施され、11月25日に「ゆり(メス)」が名古屋市東山動植物園へ、「つむぎ(メス)」が西海国立公園九十九島動植物園へ出園し、同日に「勇希(オス)」「Beny sumo(オス)」「りん(メス)」が名古屋市東山動植物園から来園しました。
報告が遅くなってしまいましたが、今回は来園した3頭の様子をお伝えしたいと思います。
まずは勇希。
昨年も当園に一時来園しており、久しぶりの再会です。
初日は少し緊張した様子でしたが、ここに来たことがあると思い出したのでしょうか。翌日にはエサの気配を感じ取ると走ってくるようになりました。
昨年より随分と慣れるのが早く、記憶力がいいんだなぁと感じました。
だいぶグイグイ寄ってくるようになったので、健康管理のために背中に触ったりのトレーニングを当園でも継続しています。
次はBeny sumo。
野生由来の個体ですので「慣れるのに時間がかかるかな」と思っていたのですが、思いのほか堂々とししており、トングでの給餌や体重測定も3頭の中で一番最初にできるようになりました。
Beny sumoはくくり罠(設置された場所に足を踏み入れるとワイヤーが飛び出し締め付ける罠)が原因と思われる外傷のため保護され、左前肢を断脚手術の上、命をとりとめた過去があります。
ツシマヤマネコの生息する長崎県対馬ではシカやイノシシの増加による、農林業や生態系への影響が深刻化しており、同時に個体数管理のために設置された狩猟罠に誤ってツシマヤマネコがかかってしまう錯誤捕獲(さくごほかく)も大きな問題となっています。現地では早期発見のための罠の見まわりや、締め付け金具の位置をヤマネコの足が抜け出せるように調整してもらうなど協力が呼びかけられています。
以前来園した「たんぽぽ(現在:福岡市動物園)」も同様にくくり罠が原因で右前肢を失っており、ブログで紹介したことを覚えている方もいるかもしれません。今回のBeny sumoの紹介を通じて、改めてみなさまもツシマヤマネコが直面する課題にも関心を向けていただけば...と思っています。
最後に、りん。
基本的にメスはオスよりも警戒心が強い個体が多いです。りんも最初はカメラ越しでしか、なかなか姿を確認できませんでした。
しかし最近は慣れてきて、エサを置くとすぐ食べに来るようになり、食べ終わった後もまだ欲しそうにこちらの様子をうかがっていることもあります。
巣箱の中も気に入ってくれたようで、リラックスして休んでいる姿を確認していますよ。
以上、簡単ではありましたが、来園した3頭はみんなよく食べ元気にしています!の報告でした。
※3頭は非公開施設で過ごしており、公開の予定はありません。
※人工授精を実施後、来年1月中に勇希は九十九島動植物園へ、Beny sumoは東山動植物園へ移動予定です。