
更新日:2025.09.02保護コゲラが野生に帰るまで🐤 野生復帰編
保護コゲラが野生に帰るまで🐤 野生復帰編
6月末に保護された3羽のコゲラのヒナのブログ第3回です。
(保護から巣立ち編はこちら:「保護コゲラが野生に帰るまで🐤保護から巣立ち編」)
(ひとり立ち練習編はこちら:「保護コゲラが野生に帰るまで🐤ひとり立ち練習編」)
今回は、いよいよ放野の様子を紹介します!
広い場所でも自分で餌を食べられるようになったら、いよいよ野生に返します。放野の前に一度捕獲して、体重や体の状態などを確認します。
今回はその際の記録写真を用いて、放野前のチェックの様子とコゲラの体について紹介します!
・翼の様子
羽が痛んでいないか、換羽の途中でないか確認します!
黒い羽に規則的に並んだ白斑がとてもきれいです。
・尾羽の様子
ケージの壁で尾羽が擦り切れてしまったり、栄養不足だと羽が折れてしまう事例があるため、しっかり確認します!コゲラの尾羽はまっすぐの丈夫な羽軸があり、木にとまる際に体を支える役割を担います。
・足の様子
爪が剥がれていたり、足裏が痛んでいる場合もあるのでこちらも要チェックです!
コゲラを含むキツツキの仲間の趾(あしゆび:足の指のこと)には、木に登るための特徴があります。
それは第4趾のつき方です。
多くの鳥類では趾(あしゆび)が前方に3本、後ろ向きに1本ついています。
コゲラなどキツツキの仲間では、他の種では前向きの1本(第4趾)が横向きから後ろ方向に向かってついています。
そのため、次の写真のように体を支える役割をすることが出来ます。
この指のつき方を「対趾足(たいしそく)」と言います。
・頭部の様子
木をつつくための鋭く短いクチバシが特徴です。
こちらは後頭部に赤い羽根が無いので、メス個体です。
後頭部に赤い羽根があるのがオス個体です。
舌の先端はモリのようになっています。
この舌は木の中から虫を引き出す際に役立ちます。
3羽とも体重・羽の状態ともに良好で、野生に返すことになりました。コゲラは動物園内にも生息しているので、病院裏の森で野生に返しました。
森の方を向けて離したのに反転して動物病院の方に戻ってきました・・・。
しばらくは動物病院の壁にとまっていましたが、その後、森の方に飛んでいきました。病院近くの木にとまったので追いかけてみました。
その際の写真です↓
この写真のなかにコゲラが1羽いますが、どこにいるか分かりますか?
木々の中に入ってしまうとすぐには分からなくなります。
ここにいました!
しばらくは木々の間を飛んでいる様子が確認できましたが、やがて森の奥へと飛んでいき姿が見えなくなりました。
今回は、保護されたコゲラ3羽すべてを無事に野生に返すことができました。キツツキ類のヒナの飼育は経験がありませんでしたが、実際に飼育してみると動物園で用意できるコオロギ等でよく育ってくれました。
キツツキ類のヒナが保護されることは少なく、知名度も低めの鳥なので3回に分けてブログで紹介しました!皆さんがコゲラについて知るきっかけになれば幸いです🐤
🌳初夏に木を切る際には、鳥が営巣していないかくれぐれもご注意ください🌳
傷病鳥獣担当 尾形
(横浜の動物園での取り組みはこちら)