
更新日:2025.08.12保護コゲラが野生に帰るまで🐤 ひとり立ち練習編
保護コゲラが野生に帰るまで🐤 ひとり立ち練習編
6月末に保護された3羽のコゲラのヒナのブログ第2回です。
(前回のブログはこちら:「保護コゲラが野生に帰るまで🐤 保護から巣立ち編」)
今回はひとり立ちまでの様子を紹介します!
ヒナたちは、人工育雛期間を経て、ケージ内で自力採食できるまでに成長しました!
ケージ内で担当者が用意した餌を食べることを覚えたコゲラたち。しかし野生に帰るためには、屋外で餌をさがして生きていく力が必要です。
野生の鳥類は巣立ち後も親鳥と一緒に過ごし、エサの取り方などを学習します。ですが、残念ながら担当者にはコゲラの親鳥と同じ教え方はできません。そこで、いくつか環境面での工夫をして、自力で採食するように促すことになりました!
・工夫その1 餌を隠してみよう!
ケージ壁面に人工芝を設置してミルワームやコオロギを隠してみました。
自然界では、餌になる虫がすぐに見つかるとは限りません。
様々な場所に隠れた虫を探す練習として、人工的に似た環境を用意してみました。
設置直後から興味津々でつつきに来ました。
その後数日は、人工芝の隙間などをクチバシや舌を使って探索する様子が観察できました。
少量自力での採食も確認できましたが、この方法だけでは体重を安定させる量を採食させることはできませんでした・・・。
・工夫その2 朽ち木を入れてみよう!
自然界では木の中にいる虫などを探して食べているコゲラ。
試しに病院裏で探した、朽ち木を与えてみると・・・
すぐに近づいてきて、興味津々でつついてくれました!
数日後には朽ち木がボロボロになりました笑
興味深いのは虫がいそうな場所を重点的につついていた点です。枝の黒く変色している点や、穴の開いている部分や隙間など、本来虫がいるような場所をくちばしや舌を使って探索していました。人工育雛で育ったので、昆虫のいそうな場所はだれも教えていません。コゲラたちの本能にとても驚かされました!
野生と同じ採食行動ができなかったら野生復帰は難しいのでは・・・?と心配していましたが、ひとまず一安心!!
・工夫その3 広いスペースで練習しよう!
朽ち木に対する反応が良好だったので、屋外のリハビリケージをコゲラ用に改造して様子を見ることにしました。
まず朽ち木を立てます。
この朽ち木は動物病院裏の森に半分埋没していたものを掘り返したものです。触るのをためらうくらい様々な虫がついていました笑
固さも考慮し、できるだけコゲラがつついて壊せる程度に朽ちている木を選びました。
少し寂しい感じがしたので、園内で定期的に出る伐採木を活用して緑化してみました。
生息環境にちょっとだけ近づけることが出来たでしょうか?
移動初日は落ち着かない様子だったものの、翌日ごろから採食行動が見られるようになりました。
残念ながら採食中に撮影を試みても、この写真のように逃げてしまうのですが・・・。
朽ち木の周辺に採食の痕跡(木くずが飛び散る・木に穴が開く等)があることから、人がいない間に採食している様子です。補助的に与えていたミルワームやコオロギもよく食べている様子でした。
人工育雛中は手から餌を食べていたのに、すっかり野生動物らしい距離を取るようになりました。
(作業に入ると天井付近まで逃げてしまうので、あまりいい写真がありません・・・。)
数日様子を観察し、広いリハビリケージ内でも自分で餌を食べていることが確認できました。
ここまでくれば野生に帰る日も近くなります。
捕獲して体の状態を確認し、野生に返せる状態か確認します!
その様子は次回「野生復帰編」でお届けします🐥
傷病鳥獣担当 尾形
(横浜の動物園での取り組みはこちら)