更新日:2022.05.05横浜三動物園の絆
更新日:2022.05.05
横浜三動物園の絆
いよいよ野毛山動物園でもミヤコタナゴの人工授精がスタートします。
実は十数年前まで、野毛山動物園でもタナゴの繁殖は人工授精をメインとして取り組んでいましたが、
カワシンジュガイが手に入るようになってからは、人工授精そのものを休止していました。
いざ人工授精を再スタートさせるといっても、
その技術を教えてくれる先輩は既にご卒業されて園内におりません。
横浜市では、ミヤコタナゴを危険分散という名目で金沢動物園においても累代繁殖に努めております。
金沢動物園では、昨年より人工授精による繁殖に取り組んでいて、
稚魚の成育にも成功しています。
そこで、人工授精技術の指導を仰ぎに金沢動物園に出向きました。
産卵管が充分に伸びているメスと体の大きなオスを選別します。
メスの腹部をやさしく圧迫すると、産卵管から5から6個の卵が出てきます。
未受精卵が外に排出されました。
続いて、オスの腹部をメス同様に圧迫します。
採精も完了です。
受精卵が出来上がってから稚魚が成長して泳ぎ始めるのに約1か月を要します。
ここからが最も重要なところとなります。
その結果は後日改めてお伝えできるように慎重に実施することに致します。
自分が先輩から教わったものに、「聞くは一瞬の恥、聞かぬは一生の恥」という格言があります。
横浜市には3つの動物園があり、多様な経験と知識の豊富な人材が各所に配置されています。
そして、お互い切磋琢磨しつつ技術の継承に努めております。
このことが横浜市に三動物園があるという「強み」になっています。
(飼育展示係 川崎立太)