更新日:2026.04.19ツシマヤマネコの今期の取り組みについて
ツシマヤマネコの今期の取り組みについて
当園は環境省と(公社)日本動物園水族館協会が協力して取り組んでいる、ツシマヤマネコの保護増殖事業に参画しています。今回のブログでは本事業における「令和7年-8年 ツシマヤマネコ飼育下繁殖計画」の取り組みについてご報告いたします。

ツシマヤマネコは長崎県対馬のみに生息しており、野生での生息数は100頭前後と推定されています。
絶滅の危機にあるツシマヤマネコを守るため、対馬での「生息域内保全」を軸としつつ、万が一さらに危機的な状況となった場合に備えて対馬以外の場所でも個体を管理・繁殖させる「生息域外保全」が、関係機関と連携して進められています。
(飼育下個体群は絶滅を防ぐためだけではなく、その他にも普及啓発や野生復帰技術開発、科学的知見を収集し保護活動に応用するなどの役割も担っています。)
飼育下での繁殖では、個体同士の相性や交尾に至らないことによる繁殖率の低さ、そして個体数が限られていることから遺伝的多様性の維持などが課題となっています。それらを克服し繁殖の可能性を広げるために取り組まれているのが人工授精です。
昨年度、当園ではメスの「りん」とオスの「勇希」、「Beny sumo」の組み合わせで人工授精を実施いたしました。その結果妊娠に至り、3月7日に1頭を出産しましたが、残念ながら死産でした。子の発育状態は十分で、分娩自体も順調であったように見えましたが、分娩の過程で何らかの負荷が生じた可能性が考えられます。
3月に入ってからは担当者以外の職員にも協力してもらいながら、24時間体制で「りん」の様子を見守ってきました。皆で元気な親子の姿を見られることを心待ちにしていただけに、非常に残念でなりません。
また人工授精から出産の準備に至るまでご協力をいただいた関係者の皆様、そして見守ってくださった来園者の皆様にこのような報告になったこと大変心苦しく思っております。
一方で、野生ネコ科動物の人工授精は繁殖生理学的にも非常に難しく、ツシマヤマネコでの出産事例は2021年の成功例に続き、今回が2例目となります。結果は死産となってしまいましたが、人工授精によって妊娠し、分娩まで至ったことは、大きな前進であるとも考えています。

最後に「りん」ですが、産後の経過も良く、食欲もあり元気に過ごしています。
大きな役割を果たしてくれているヤマネコたちが今後も健やかに過ごしていけるよう、引き続き飼育管理に努めるとともに、今回得られた貴重な経験や知見を今後の取り組みに活かしてまいります。