更新日:2014.07.12グレビーシマウマ〝キャンディ″ 野毛山卒業です!その1
グレビーシマウマ〝キャンディ″ 野毛山卒業です!その1
シマウマの仲間の中で最も大きいグレビーシマウマは、細かい縞模様を持ち、最も美しいシマウマとも言われています。野生ではその美しい毛皮のために密猟などで数を減らしてしまいました。現在はエチオピアやケニアの一部でのみ生息しており、レッドリストでは絶滅危惧ⅠB類に分類されています。
野毛山動物園では、「モモタロウ(オス)」と「キャンディ(メス)」の2頭を飼育していましたが、7月7日七夕の日に「キャンディ」が千葉市動物公園にお嫁にいきました。
これは、絶滅が危惧されているグレビーシマウマを飼育している国内の動物園で話し合い、力を合わせて繁殖に取り組むため、その使命を「キャンディ」が担うことになったという訳です。
旅立ちが決まった「キャンディ」と飼育担当者には、さっそく乗り越えなければならない壁が待ち受けていました。それは「キャンディ」にとっては〝移動箱に入れるようになる″こと、飼育係にとっては〝移動箱に入れるようにする″ことでした。
野毛山での最後のお仕事をしっかり頑張った「キャンディ」の様子をご紹介します。
5月30日、移動箱を「キャンディ」の展示場に設置するところからスタートしました。
慎重派な「キャンディ」のこと、さすがに出入りしてくれるようになるには、数日かかるかな...と思いながら、部屋の扉を開けてみると、一瞬だけ躊躇しましたが、「えいっ!」と移動箱の中を通り抜けたのです。その後も移動箱を通って、展示場と部屋を行ったり来たりしていました。最初の課題は難なくクリアしてくれました。
さて、次の課題は、移動箱の中で立ち止まれるようになることでした。
まず、ペレットを移動箱の入口付近において、徐々に中に入れるように練習を始めました。
始めは戸惑って、担当者の顔をじーっと見つめていましたが、恐る恐る首を伸ばして食べ始めてくれました。
「はい!いってらっしゃい!キャンディならできるよ、頑張れ!」と声をかけた後、うんうんと、うなずいて励ます担当者。それを見て、移動箱の中に入っていき、食べ終わると担当者の顔を見るキャンディ。
練習3日目には蓋がしまっていない状態では全身を入れて、ペレットを食べることができるようになりました。その姿を見て、「キャンディ」の勇気を信じてみようと思いました。そして、練習5日後には片側の蓋を半分、12日後には全面閉めた状態で全身を入れることができるようになりました。
また、練習を始めてから、「キャンディ」と担当者には日課がありました。
移動箱の中に入るとき、担当者の存在が不安ではなく、安心につながればいいなと思い、できるだけ一緒にいる時間を作り、声をかけたり、「体をなでて~」と催促があれば、手で首をなでてあげたりすることでした。
こんな風に1か月の間、練習を重ねてきました。
次回は、7月7日の移動日当日についてご紹介します。