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更新日:2021.08.12第一関門突破なるか⁈

更新日:2021.08.12

第一関門突破なるか⁈

以前のブログで白クジャクの孵化直後の様子をご報告しましたが、その続報です。

今回は人工育雛の第一関門である『餌付け』についてです。

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これは2019年に当園のインドクジャクが自然育雛で生育した時の写真です。

当時、餌付けの様子を観察していると、母鳥は雛を餌場に連れて行き、雛に食べさせたい餌を自らの嘴でくわえ、雛がそれに興味を示した時に雛のもとに餌を落とし食べさせるという行動を繰り返していました。

また、見慣れない餌に雛が警戒している時は、「シーシー」という普段は出さないような声で鳴き、雛に食べ物だと教え、食べるように促しているのも観察されました。

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このように自然育雛では親鳥の賢明な餌付けにより、雛たちは自力で食べることを覚えて成長していくのがよく分かりました。

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動物園では通常、キジの仲間の鳥類には鶏用配合飼料や小松菜を中心に給与します。

雛にはヒヨコ用の栄養価の高い配合飼料を給与しますが、以前キジ類の人工育雛をした際、それだけでは餌付かないこともありました。

そのため、今回は野毛山動物園で過去にキジ類の人工育雛をした例を参考に、嗜好性が良いゆで卵と小松菜で餌付かせることにしました。

人工育雛ではピンセットを親鳥の嘴に見立てて餌をつつき、食べるように促す方法をとります。

孵化後12日の雛は自らの卵黄により栄養補給しているため、餌を食べなくても問題はありません。その間にピンセットに興味が向くようにしておきました。

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親鳥のようにはいきませんが、作業中時間の許す限り№23と一緒に居て、餌をピンセットでつついて促すことにより、№23は自ら餌を食べて始めてくれました。

23が餌付けば、その様子を見て№24は食べ方を覚えてくれるはずです。

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今回2羽孵化させたのは、1羽より複数で育てる方が良い意味での『競争』をすることで雛が生育する可能性が高いと考えたからです。

その思いのとおり、№23が食べると№24がその横からつつくことを繰り返し、№24も食べ方を覚えてくれました。

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こうなれば一安心。

通常の餌に切り替えても、このように食べてくれます。

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運動のために日中砂場に出しても、2羽並んでしっかり食べています。

どちらかというと、№24の方が餌に対する執着が強いくらいです。

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そして、キジ類の食べ物を消化するのに必要な砂も本能的に啄んでいます。

小さいけど、頼もしさも感じる光景でした。

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左が№24、右が№23

孵化後20日、あの羽も出てきています!

とは言え、これも3ヵ月も前の姿。

気になる今はいうと・・・。

少しだけお見せします。

どーん!!

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2羽(左№24、右№23)とも元気に成長中です!!!

次回はこれまでの成長記録をお伝えします。

飼育展示係 大谷