
更新日:2025.09.29カグーの羽事情 【後編】
カグーの羽事情 【後編】
みなさん、前編は読んでいただけたでしょうか。
まだ読んでない方がいらっしゃいましたら、ぜひこちら↓から前編も読んでいただけたらと思います!
さて、前編ではお話しできなかったカグーのもつ特殊な羽毛構造についてですが、みなさん鳥の水浴びシーンは見たことありますか?
身近な野鳥でいうと、カモたちが水浴びしている姿を見たことある方が多いのではないでしょうか。
(こちらは野毛山動物園のマガモのオスです)
カグーも水浴びをするのですが、私はカグーの水浴びシーンにまだ直面したことがないのです...。
しかし、直接見ていなくてもカグーが水浴びしたということは水の状態を見れば分かります。
こちらが普通の水
こちらが水浴び後 とそれを見つめる水浴びしたであろう本人
これをすくってみると... *本人も立ち会ってくれました
なんだこの白いのは⁉ これが私が後編でお話したかったカグーがもつ特殊な羽毛構造です!
カグーにはパウダーダウンと言われる特殊な羽毛があり、別名粉綿羽とも言われています。その羽毛は常に粉状に崩れていく羽毛で、ケラチン(タンパク質)の微細な粒子です。鳥の体の特定の部位に生えていて、定期的に崩れて白い粉末状になります。ケラチンは水をはじく性質を持っており、水に溶けにくく、軽いので水浴びをしたときに浮いてくるわけです。
ちなみに私たち人間の髪の毛や皮膚の角質層もケラチンでできていて、シャワーを浴びても髪の毛自体が水に溶けないのと同じですね。
(雨の日に外から帰ってきた二羽)
先ほどカモたちが水浴びする様子の話をしましたが、カモたちが水浴びした後、水は白く濁っているでしょうか...?
そうです。すべての鳥が持っているわけではないのです。
ではどんな鳥が持っているかというと、カグーの他にサギ類、シギダチョウ類、オウム類、ハト類などが挙げられます。
(↑野生のアオサギとドバト)
その中でもカグーはパウダーダウンが発達しており、常時パウダーダウンを生成する鳥の一種です。どの部位にあるかというと翼や尾羽を除く全身に広く分布していて、羽繕い時に嘴で粉を広げやすい位置に集中していると言われています。
胸部や腹部、肩腰、背中、脇部など。
カグーにおけるパウダーダウンの効果は保温と断熱、防水、清潔保持などがあります。粉状のパウダーが羽全体に広がることで、生息地のような湿潤な環境でも羽が濡れにくく、腐食や汚れから守られます。
多くの鳥は飛翔のための羽毛が重要ですが、飛べないカグーでは羽の清潔さや断熱性の方が重要となり、パウダーダウンがより発達したと考えられます。
ちょっと触っただけで黒い画用紙がこうなります↓
先ほど紹介したサギ類では魚やカエルなどを食べ、粘液や血液で羽が汚れやすいのと水辺生活で羽が濡れやすいため。オウム類では尾脂腺が退化していて、パウダーダウンが主な羽毛ケア手段だから。ハト類では尾脂腺はあるが、羽の清潔を保つためにパウダーも併用しているなど、特徴と役割は鳥の種類によって異なります。
ではパウダーダウンを持っていない水鳥(カモ類など)はどうしているのかというと、先ほどからチラッと出てきている尾脂腺という尾の付け根にある腺から分泌された油脂成分を嘴で羽に塗り、水をはじいています。この油のおかげで、水が中にしみこまず、浮きやすい状態が保たれてます。
(野生のカルガモ)
↑少し分かりにくいかもしれませんが、こちらはクロツラヘラサギの尾脂腺です
水鳥などは油で羽をコーティングしているのに対してカグーはパウダーダウン(粉綿羽)でコーティングしているということです。
そして健康な2羽は粉で身体を守られているので撥水性抜群!
よーく見ると水をはじいているのが分かります。
多少の雨であれば、喜んで外に出て昆虫探し。
帰ってきた時は二羽とも嘴が土まみれ。この日水浴びもしたムラリンはいつも以上に濡れています。
まとめるとパウダーダウンと尾脂腺は持っている種もいれば、持っていない種もいて
それは "種や進化の適応"による ということです。
今回はカグーの羽事情を自分なりに調べて、興味深い部分をピックアップして皆さんにお伝えしました。
深堀すればするほど謎と発見が出てきて、調べながらワクワクしていました😊
ちょっと遅くなったカグー担当の夏の自由研究でした!
ミドリン、ムラリン協力してくれてありがとう‼
これからもカグーたちの初知りをみなさんに共有して、カグーの暮らしや魅力を伝えていきたいと思います!
ミドリン・ムラリン担当 キクリン