
更新日:2025.10.10おじじ ゆっくり休んでね
おじじ ゆっくり休んでね
みなさんに悲しいお知らせがあります。
ルリゴシボタンインコのおじじが9月20日に旅立ちました。
おじじは、2013年生まれのオスで、今年で12歳でした。
ルリゴシボタンインコの寿命は10~15年程と言われています。
今年の1月4日に、おじじと同じ年に生まれて群れの最年長だったおじいが亡くなり、新たに最年長になったということで、飼育員の中での愛称が"おじじ"でした。
(寝ているおじじ)
おじいが亡くなった後からおじじも体力的に衰えてきたのか、肩で呼吸をすることが目立ち始め、採食や動きなどを気にして見ていた毎日でした。
それから約半年経った5月の末、朝は止まり木に止まっていたのですが、掃除中に姿が見当たらなくなり、探すと巣箱内で休んでいました。
その後巣箱から出て飛んだのか、おじじが床に不時着してきました。本来なら床に不時着することはほとんどなく、私たちが近づいただけですぐに飛びたちます。
しかしそのまま飛んで戻ることが出来ず、捕まえて獣医のもとに連れて行きました。
その時点で少し痩せていて、上手く止まり木にも止まれず、物に寄りかかっていないと横たわってしまい、かなり厳しい状態で、ビタミンなどの栄養剤を与えて、様子を見ていました。
このような状態だったのにも関わらず、数十分後にはおじじが餌をモリモリ食べ始めて、9月20日まで生き抜いたのは、愛の奇跡が起こったのだと私は思います。
実はおじじにはペアのメスがいました。
私は担当になって二年目ですが、ずっとおじじがメスに寄り添っている姿が印象的でした。メスの歳は2020年生まれでおじじと7歳差でしたが、ルリゴシボタンインコを含むラブバードは相性の方が重要で、年齢差があるペアでも強い絆を築くことがあります。
おじじが先にメスにくっついてメスもそれに応えて羽繕いし合っていて、見ていていつもほっこりしていました。 ※メスには名前が付いていません。
(遠目の写真しかなくて見にくいかもしれませんが、赤丸左がおじじ、右がメスです)
そんなおじじを病院に運んだ日、もう群れに戻せる状態ではなかったため、健康なペアのメスを一緒にケージ飼いにするかどうか悩みました...。でも最期にメスに会わせてあげたいと思い、担当内で相談し、連れてくることにしました。
そしてメスをケージに入れた瞬間、おじじの動きに変化が...
もう動くことでさえも厳しい状態だったはずなのに、嘴を使って止まり木に何とかよじ登り、メスの隣まで行き、ぴとっと寄り添ったのです。
私はその姿を見て、奇跡が起きたと思いました。
(メスは警戒心が強く、カメラを近づけると離れてしまいました...。)
それから餌も自力で食べ、あの時のおじじが嘘だったかのように回復しました。
数日後、二羽とも慣れている環境であるインコ舎にケージごと戻し、様子を見ていました。
おじじは止まり木に掴まる力も弱まっていて、ケージ内の床にいることも段階的に増えていたため、床にも餌と水を置いていました。
餌を入れるとすぐに食べ、名前を呼ぶと床にいてカゴの陰に隠れていてもひょっこり顔を出し、元気な様子を見せてくれていました。
今年は去年よりも気温が高く、去年は見られなかったのですが、開口呼吸をしている個体もでてきたため、インコ舎にスポットクーラーを設置し、おじじたちにも配慮しながら対策していました。
ナイトのげやま開催時は20時半まで開園していたため、夜の様子を見に行くと群れの個体はほとんどが巣箱の中で過ごしていました。ケージ内の2羽はというと、おじじがカゴの陰で寝ていて、それに寄り添ってメスも床で寝ていました。
そんな猛暑続きの気温が落ち着いてきて、やっと夜が涼しくなってきたある日。
午前中はいつも通り餌の食いつきが良かったおじじですが、夕方急に元気がなくなり止まり木にも止まれなくなり、翌日の朝には息を引き取っていました。
あの状態からここまで復活して生き延びたこと、おじじとメスの愛の奇跡は一生忘れません。
よく頑張ったね、おじじ。ゆっくり休んでね。
メスはというと一羽で落ち着かない様子で、すぐに群れに戻しました。
ケージにいた期間、群れのインコたちとは顔を合わせてはいましたが、ペアであるおじじが亡くなり、精神的な面でも大丈夫かどうか心配でした。
ケージから放った直後、他の個体が何やら確認しに集まってきました。
その後おじじと使っていた巣箱に入り、最初は他の個体に囲まれていましたが、特に闘争が起こることもなく、今も過ごしています。
悲しいけど、一緒に乗り越えようね。
おじじを暖かく見守ってくださった皆さま、ありがとうございました。
これからもインコたちの健康管理と快適な環境づくりに励みたいと思います。
きく