
更新日:2025.05.22野生のコアリクイ観察レポート
野生のコアリクイ観察レポート
完全にプライベートな話なのですが、中米の国コスタリカに、動物観察の旅行に行ってきました。たくさんの野生動物に出会うことができましたが、今回は、野毛山動物園で飼育している、コアリクイの野生での姿についてレポートいたします。
コアリクイと言っても、当園で飼育しているのは「ミナミ」コアリクイ。
コスタリカに生息しているのは「キタ」コアリクイです。コアリクイを見ることができたのは「コスタリカ最後の秘境」と呼ばれるコルコバード国立公園。ペットボトルや食べ物の持ち込み禁止、森に入れる門限あり、とかなり厳格に管理されています。アリクイは名前の通り、アリやシロアリを食べるのですが、私がイメージしていたアリ塚は、地面からタワーのように三角錐が立ち上がる、おそらくみなさんが最も思い描いているであろう、巨大なあれでした。しかし、森の中で見ることができるのは、このように木の枝や幹の上に作られた丸っぽいものでした。
これがかなりの数あります。想像と違うことがわかったり、その規模感や周辺の環境まで感じられるのは現地に来てこそ。
第一アリクイを発見したのは、コルコバードを歩き始めて1時間も経っていない頃だったと思います。蔦の生えている木の根元に、先程紹介したアリ塚があり、そこをしきりに舐めています。
生まれて初めて見たキタコアリクイは、きれいなベストを着て、現地の土にまみれているためか、かなり赤っぽく見ました。首筋のあたりの毛もだいぶフサフサしています。ただ、木や藪の陰になり、あまり良く見えなかった、というのが正直な感想でした。一応、目的の一つ、コアリクイを見られたな、と思いましたが、ランチ休憩を挟んでリトライした探索で幸運が訪れました。別グループの人たちが木にしがみついているコアリクイを観察していたのです。
わかりますか?これを最初に発見した人、すごっ!って思いませんか。太い木に蔦がモサモサと巻き付き、それに埋もれるように大の字になってしがみついています。
しばらくするとズンズンと木の上に登っていき、あっという間に高さ10m程まで行きました。
横に伸びる枝を歩いてたどり着いたその先端は、木が朽ちているようです。望遠鏡を覗くと、朽ち木を爪でほじくりながら、長い舌をぺろぺろとせわしなく出しています。
尾を枝に巻き付けて真っ逆さまになったり、様々な姿勢を取りながら、夢中でアリを食べているのでしょう。アリクイの木登りスキルを実感しました。
そこは、カメラも曇るほどの高温多湿。野生のアリクイの行動が見られただけでなく、生息環境も体感でき、現地に行った甲斐がありました。
行程を伴にした、埼玉こども動物自然公園の担当者は、ナマケモノについてのレポートをしてくれています。埼玉県こども動物自然公園のブログはこちら↓です。併せてご覧ください。
https://www.parks.or.jp/sczoo/blog/entry/007594.html
(アリクイの担当ではない、はんざわ)