
更新日:2025.06.25ゴーゴとの関係
ゴーゴとの関係
ホッキョクグマのイッちゃんとライの公開がはじまって早1か月が経過するころですが、この1カ月の間に潜水も上手になり、体力もついて、ゴーゴと交代するまで展示場を駆け回っているライです。
観覧に際しては、お集まりいただく多くのみなさんに楽しんでもらえるよう、現在は制限ある観覧方法となっておりますが、みなさん初日より毎日マナーよく、ご協力いただきながらの観覧に感謝しております。
親子への注目が集まる毎日ではありますが、ライの誕生に大いに貢献してくれたのが、父親のゴーゴ。
最近の朝は、ぐっすり寝ていて起こすまですやすや寝息をたて、展示場へ出てもお部屋への関心高めな夏のゴーゴです。(と、文章に合わせて起きないゴーゴの写真を撮ろうと思ったら...この日の朝は起きて待っている...。そんな日もあります。)
そして、親子観覧がはじまり、みなさんからいただく質問に多いのが「ゴーゴと親子の関係」。
3回の繁殖・育成に貢献しているゴーゴですが、これまではパートナーの子育て期間には他の園へお引越しをしていたので、ゴーゴにとっても親子の横で過ごすことは初めての経験になります。
イッちゃんが産室で静かに育児をしている間は、そこにイッちゃんがいることには気づいているでしょうが、特に気にすることなく、穏やかに過ごしていました。ライ、生後76日齢の時に初めて産室を開放したのですが...
久々に鼻にしたイッちゃんのにおいに、それはそれは大興奮のゴーゴ、窓に張り付いてくぎ付けです。
そんなゴーゴに、わが子を守らねばならないイッちゃんも応戦。開くはずの無い扉も開いてしまうのではないか⁈ と思ってしまうほどの気迫のぶつかり合いで、担当者はひとり心臓バクバクしていました。
※ホッキョクグマは、母親のみが育児をします。父親であっても子どもに危害を与える可能性があるため、母親は子どもを守ります。
そんなイッちゃんの傍らで、すやすや寝息をたてて眠りはじめ、起こされるライ。いつでも守ってくれるお母さんがいれば、どこでも安心なんですね。展示場でも、のびのび♪あちらこちらで楽しんでいるのも、本当にイッちゃんの見守りあってこそなんだな...とイッちゃんの子育てに日々関心しています。
親子にとって最大の脅威である雄との間にも、飼育下であればこうした「壁」がありますが、野生では隔たりの無い中で、わが子を守らねばならないわけですから、本当に大変なことだと思いますし、つくづく母は強いなぁと思います。
こんな緊張感あふれる、ゴーゴと親子の様子でしたが、日を増すごとにゴーゴの方は落ちつき、自分ペースの生活へと戻っていきました。が、イッちゃんたちにとっては、脅威の存在であることに変わりはなく、ゴーゴが餌の気配でちらりと舎内をのぞいただけでも、駆け寄り、牽制の咆哮を浴びせています。そんなイッちゃんの牽制の声が発せられると、すかさず母のお腹の下に隠れるライでしたが、すぐに出てきてイッちゃんと同じように唇を尖らせ「プシュー」と警戒の声をあげ、イッちゃんの後ろからお尻ふりふり堂々と歩いていくライ。
この唇を尖らせる警戒の表情は、生後4か月齢くらいからみられました。フェンス越しに飛び掛かりこそしませんが、イッちゃんと同じように、ゴーゴに対してみられるこの行動、ちっとも怖くないですが(笑)そんな模倣する精悍な姿にも感動してしまいます。
産室開放後、様々な危険からわが子を守らねばならないイッちゃんの表情は険しくもありましたが、ここ最近はライの成長と展示場に出て発散できることもあってか、顔つきがとても穏やかになってきましたし、隣のゴーゴへピリピリすることも減ってきました。
そして、お隣にゴーゴがいても好奇心のまま過ごしているライ。日々、イッちゃんからたくさんのことを教えてもらっているようです。
担当:いとう さくら