更新日:2023.02.28神経衰弱
神経衰弱
ホウシャガメは甲羅の放射模様が綺麗なため「世界一綺麗なカメ」と言われ
違法取引による密猟が後を絶ちません。
ただ、この放射模様は生まれた時には持ち合わせていません。
当園で孵化した個体を観察していると、およそ1歳から2歳にかけて放射模様が現れてきます。
コガメの成長はゆっくりですが、のんびりしていると甲羅の模様がわからなくなり、
個体識別できなくなるため1年に1回は甲羅の模様を撮影しています。
2歳(2019年撮影時)の個体です。すでに模様らしきものがあります。
この個体が成長していくと
6歳(2023年撮影時)になるとこんな感じです。
模様の面影はあるのでまだ識別できますがかなり模様が変わってきています。
ちなみに生まれたばかりの時はこんな模様で放射模様は一切見られません。
同じ個体が3歳になると
放射模様がしっかり現れています。
間の写真をとっていないと、誰が誰だがわかりません。
なので、1年に1回はコガメ宅に乗り込んで間違えられない神経衰弱を行っています。
1年に1回でも個体の成長の差はまちまちなのであまり変わらない個体もいれば、
あなた誰?という個体もいます。
さて、2歳のこの個体たちはどんな素敵な放射模様に育つのでしょうか。
個体の大きさや甲羅の形は飼育環境に左右されていきますが、
模様については生まれもってのものでしょうから人為的に操作することはできないかと思います。
過去の密猟のケースをみるにホウシャガメの密猟は密輸のしやすさから
幼体の個体が多く見受けられます。
また成体は放射模様の綺麗さで取引価格が大きく変わるのではと思います。
(違法取引したことないのでわかりませんけど)
もし、幼体が密猟された時点であまり綺麗な放射模様ではなかったら
取引価値がないと判断され密猟から逃れられたのかもしれません。
しかし、幼体の頃は放射模様もはっきりしないため、
きっと手当たり次第に密猟され劣悪な環境で飼育されることで命を落とす個体が多く、
わずかな生き残りが違法取引されているのだと思います。
そこまでしてまで違法取引されたホウシャガメを飼いたいものでしょうか。
飼育展示係 大滝