更新日:2024.07.25レッサーパンダのお知らせ
レッサーパンダのお知らせ
みなさま、こんにちは。
レッサーパンダのキクが出産しましたが、残念ながら子が死亡しましたのでお知らせします。
以前、お誕生日ブログにて妊娠の可能性があるため展示をお休みしていると伝えていたキクですが。
実はエコー検査で2頭の赤ちゃんがいることが判明していました。
とはいえ無事に産まれるか、生まれても順調に育つか、それは誰にもわかりませんので、無事に産まれて落ち着いたら発表ということになっていました。
(ちなみにこの写真は出産10日前)
園路でキクの妊娠の様子を聞かれる機会があれば、そんな意味も含めて「どうでしょうね~わかりませんが。」と答えていましたが......。
そんなこんなで6月25日。
父まめたろうの誕生日の24日の翌日、母キクの誕生日の26日の前日。なんとも覚えやすい日に2頭の赤ちゃんが誕生しました。
しかし。1頭は、残念ながら死産でした。
無事に産まれるだけでも、難しいですね......。死産となった原因自体は不明ですが、オスであったこともわかりました。
そして、もう1頭はと言いますと。
産んだあと、しっかりとキクが世話をしていました。
まめたろうにも、キントキにも、ヒナギクにも鳴いたことのなかったキクが、「キュルルル」という愛情表現の声で鳴いたのを初めて聞きました。2年ぶりの育児で急激に母性を思い出したのかもしれません。
授乳だってお手の物です。
子はぐんぐんと成長していました。
キントキ、ヒナギクに比べ、1頭だとやはり栄養を沢山もらうことができるのか、キンヒナのときよりもよく育っているなぁという印象でした。
ぐんぐん、ぐんぐん、育っていたのですが・・・
生後1か月を待たずして、メスの赤ちゃんも残念ながら死亡いたしました。
解剖の結果、肺炎の疑いがあることがわかりました。
突然のことでしたが、ただひとつ言えるのは、元気な間は本当に健やかに成長をしていました。その中での死亡でしたので、残念でなりません。
担当者という立場としては、無事に育たせてあげられなかったことはとても残念ですし、何よりも力不足を痛感します。子たちを元気に成長させて、みなさまの目に届けたかったなぁ......と、いろんなことが悔やまれます。
しかし私の感情は一度置いて。事実は事実として区別し、冷静に受け入れ、反省、改善、課題はなにか、次に向かってどんどん考えていかなければいけません。
すぐに次を考えることを薄情だと思う方もいるかもしれませんが、「生きているもの」を相手にしている仕事である以上、何もしなくても彼らの時間は進んでいきます。止まっている場合ではないのです。もっともっと頑張ります。
ズーラシアでの今までのレッサーパンダの繁殖のデータや、参考にさせていただいたり、アドバイスをいただいた他の飼育園館の情報。そんなあれこれを積み重ねて今に繋がっています。
そんな沢山の過去がきちんと今に活きて、順調と思えることだってありました。今回は繊細な命を前に無力さを痛感する例がまたひとつ増えてしまいましたが、これもまた今後に活かしていきます。
嬉しいお知らせを伝える準備を着々と進めていた中、みなさまにお伝えするのが寂しく悲しいお知らせになってしまったこと。きっとそうだろうと楽しみにされていた方、申し訳ありませんでした。
キクは落ち着いたら、また展示場へと出るようになります。
元気に過ごしてはいますが、いまはのんびりと出産おつかれさまでした期間を過ごさせてあげるつもりですので、またキクに会える日をどうぞ気長にお待ちください。
担当:イケダ