
更新日:2019.12.27愛されてるイーサンへ。
愛されてるイーサンへ。
皆さま。こんにちは。
今回はいつもと異なる報告になりますが、数か月前に死亡したアカカンガルーの「イーサン(オス)」についてお話させて頂こうと思います。
少々長くなりますが、もしよろしければお付き合いくださると幸いです。
(写真だけ見るのもあり!)
アカカンガルーのイーサン↑
今回、ブログを書こうと決めたのは、とあるファンの方にイーサンの死亡を伝えると、
泣きながらもイーサンが大好きだったと、これまでのことを楽しそうに話してくださったからです。
いつもガイドのときに最前線で活躍してくれたイーサンが、愛されていたんだなと感じ、
感謝を込めて、これまでの様子をファンの方から頂いた写真と共に振り返ってみたいと思います。
ズーラシアでは、毎日「とっておきタイム」という動物のガイドを行っています。(動物種は3か月ごとに替わります)
アカカンガルーのガイドがあるときはお昼前後が多く、アカカンガルー達にとってはお昼寝タイムです。(野生では明け方や夕暮れが一番活発なので、昼間はほぼ寝ています。)
私がカンガルー担当になったばかりのときは、ガイド中なかなかカンガルーたちが寄ってきてくれず、寝ているカンガルーの目の前でエサを振ってみたりと必死でした...(笑)
しかし、1年以上が経って、カンガルー達も少しずつ慣れてきて、おやつがもらえると分かるとおやつを入れた銀カップを振る音で徐々に集まってきてくれるようになりました。
ガイドの様子↑ (集まるようになったころ)(しばらく園長写真↑↓)
それでも、日差しの強い日は日陰から出てきてくれなかったり、冬の寒い日は、日向から動こうとしなかったりすることもしばしば...
そんな中でもイーサンはいつも真っ先にきてくれる個体でした。
立ちあがるのもお手の物で、アカカンガルーの大きさをお客様にお伝えするときに担当者との身長差でより分かりやすくガイドができていました。
立ち上がった時のイーサン↑
担当者の私の身長が約155㎝なので、余計に大きく見えますね...
そして、とても人懐っこくて食いしん坊のイーサン。
ガイドのときはこんなことも...↑
ほぼ毎回直接カップに顔を突っ込んで直に食べてしまうことも...。
他の個体でもカップに顔を入れる個体はいますが、イーサンが筆頭だったような気がします。...たぶん。
ある日は本当に突然でした。
朝はいつも通りごはんを食べて、元気に展示場へ出ていきました。
しかし、午後に私がお昼休みから戻るとどうも様子がおかしくお腹をよじったり、いつもの反芻ではない感じの嘔吐をしていたので、獣医さんに見てもらうと緊急手術となりました。
胃捻転で、あまりカンガルーでは聞かない症状とのことです。
原因は不明でした。
胃捻転は胃をもとに戻せても、手術後の回復が難しいとのことでした。
手術で無事に胃は元に戻り、採食も少しあったので回復を期待しましたが、翌々日の朝、死亡しました。年齢はまだ8歳で、まだまだ元気だったはずのイーサンの突然すぎる死でした。
私は、この園に就職してアカカンガルーとエミューの担当となり、
アカカンガルーの個体ごとの性格の違いや寝相の違い、魅力を知ってほしいと考え、ブログでカンガルーの個体紹介をしたり、イベントで、それぞれ個体の名刺カードを作成したり、お客様に覚えてもらおうと色々とやっておりました...(笑)
そんな中で、よく来てくださるお客様が「ブログを見て、もう少しで全頭見分けられそうなの!」と報告してくれた時はとてもうれしかったです!
カンガルーの近くにいる私ですら、始めはみんな同じ顔に見えて区別するのがなかなか難しかったのですが、こうやって遠くからでも見分けられるようになるまでアカカンガルー達を見に来てくださり、みんな好きだけど、その中でも特にイーサンが大好きだと言ってくださることがとても幸せでした。
お気に入りの個体を見つけてファンになってくださることが何より嬉しいのです。
その方に、病気ですらなかったイーサンの突然の死を、お伝えするのはとても心苦しかったです...
しかし、その方は泣きながらも仕方のないこともあると受け入れてくださり、お花とたくさんのイーサンの写真を頂きました。素敵な写真ばかりですので、許可を得て、こちらにその中から何枚か紹介させて頂こうと思います。
頂いたお花↑
イーサンをイメージして、赤を基調としています。これは、イーサンの耳についていたタグが赤だったからです。ほんとによく見ている...
少しだけ若かりし頃のイーサン。顔がまだ茶白い...!↑
遠くにいてもイーサンと見分けられる凄さ...↑
すっかり鼻周りが白くなった頃。すごいおじいちゃんってわけではないんだけどなぁ...遺伝?↑
温厚な性格だけどたまにはケンカだってします。↑
ガイド中のイーサンの様子をお届け!
やはり必ずカップに顔を突っ込むイーサン。
お客様から笑いを取るのが得意です。↑
おねだりも上手。↑
手から食べるときは、逃がすまいと手を掴むのが通常。
カンガルーは高いところの枝を手で引き寄せて食べる習性があります。↑
お口パンパンですねぇ↑
(たまには担当者も掴んでみます笑↑)
そして、イーサンと言えば立ち上がったとき!
普通に立つと、私より小さい。↑
しかし、尾を使って体を支えることで、こんなにも体を大きく見せることができます!↑
イーサンの体重に押し負けることもしばしば。アカカンガルーの体重は重い時で70Kgを超えます。
以上!ガイド中のイーサンの様子でした!
アカカンガルーの担当になってから3年目。
いつも一緒にガイドをしてくれたイーサンに、私もとても感謝しています。
最前で活躍してくれたイーサン。
多くのお客様からは「カンガルー」とだけ認識されていたのかもしれませんが、ガイドの時、一番目立っていたカンガルーがいたら、それはきっとイーサンだったかもしれません。
この3年間で来園してくださったお客様の写真フォルダに、もし、カンガルーのガイドの写真があったらぜひ見返してみてください。右耳が少し切れていたら、おそらくイーサンです。
突然のお別れでしたが、記憶にはいつでも存在しています。
一緒にガイドしてくれてありがとう。
君のファンもできていたよ。
愛されてたよ。
ありがとうイーサン。
長い報告、最後まで読んでいただきありがとうございます!
これからもズーラシアではアカカンガルー達がガイドの時に私のそばに来てくれると思います。(多分)
ぜひ、来園されたときにはお気に入りの1頭を見つけて観察してみてください。
そして、あわよくばその個体のファンになってください。
最後に。
素敵な写真をたくさんありがとうございました!
イーサンのファンでいてくれてありがとうございます。
アカカンガルー・エミュー担当
濱田