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おさかな保育園その1 ミヤコタナゴ編の写真

更新日:2018.08.13おさかな保育園その1 ミヤコタナゴ編

更新日:2018.08.13

おさかな保育園その1 ミヤコタナゴ編

タイトルは、7月9日のブログ「インドホシガメ幼稚園」を真似ました。
カメ担当O滝君ごめんなさい。

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さて、皆さんは上の写真の建物を覚えているでしょうか?
そう、昨年もこちらのブログで紹介した、野毛山一地味な場所、「タナゴ舎」です。
この知る人ぞ知るタナゴ舎が、今年はベビーラッシュで沸いております。

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まず紹介するのは、昨年もたくさんの稚魚が誕生した「ミヤコタナゴ」。
一見「ただのタナゴじゃないの?」と思われがちですが、実は国の天然記念物に指定されている、とても希少な魚なのです。

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元々、関東地方にのみ生息していたミヤコタナゴ。かつては横浜市内でも見られたのですが、都市化に伴う生息環境の悪化により激減し、現在では千葉県と栃木県のごく限られた水域にのみに生息が確認されています。

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タナゴの仲間の繁殖形態は、とても興味深いものがあります。
まずメスは長く伸びた産卵管を淡水二枚貝の殻の隙間に入れ、貝のエラの中に産卵し、そこへオスが放精します。

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その後エラの中で孵化した稚魚は、しばらく二枚貝の中で過ごし、約1か月すると貝の外へ浮上し泳ぎ回るようになります。
このように貝に卵を託すことで、他の生物にもっとも捕食されやすい卵や稚魚の時期を保護してもらっているのです。

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ちなみにこちらが、当園でミヤコタナゴの繁殖に使用している、淡水二枚貝の一種「カワシンジュガイ」。
タナゴの繁殖期以外は、カワシンジュガイ専用の容器で飼育しています。

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さて、今年は3月中旬頃から、オスの体色が婚姻色と呼ばれる鮮やかなオレンジに変化し、メスの産卵管が伸び始めるという、繁殖期特有の目印が現れたので、タナゴたちの水槽へカワシンジュガイを投入しました。

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するとカワシンジュガイを投入して29日目から稚魚の浮上が始まり、今年は合計100匹を超える稚魚が誕生しました。

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たくさんの稚魚たちが小さな体で元気に泳ぎ回る姿は、まるで賑やかな保育園のようです。
皆さんも是非、ミヤコタナゴの稚魚たちに会いに来てください!(おさかな保育園その2に続く)

(飼育展示係 伊原)