更新日:2017.11.04珍客
珍客
野毛山動物園では傷病鳥獣保護事業を行っています。
今までもブログで、傷病ガイドの顔となったホンドタヌキのハマーはじめ、アブラコウモリ、ツバメ、スズメ、カルガモ、ヒヨドリなどなど様々な保護されてきた動物を紹介してきました。
やはり身近な野生動物、とくに小鳥類が野毛山動物園では保護されてくることが多いです。
しかし、10月のある日、野毛山動物園に珍客がやってきました。
海辺で飛べない鳥がいたので保護しましたとのことでしたので、
この辺りの海辺で保護されるとしたらウミネコかな?サギ類かな?
なんて思うのですが、鳥が入っている段ボールがどうにも重たい。
かなり大きい鳥??
と恐る恐る箱を開けます。
すると...
なんと、コアホウドリでした!!!
コアホウドリは国の絶滅危惧種であり天然記念物に指定されているアホウドリの仲間で、こちらも絶滅危惧種で日本国内では小笠原諸島の聟島列島に数十羽しかいなく、世界的にも数が少ないといわれています。
渡り鳥なので繁殖地に向かって旅をしている最中、本州に迷い込んできてしまったのでしょう。
体長は80㎝程、翼は広げると片翼だけで1mほどあります。
その体重は1.74kg。
コアホウドリのような体の大きな鳥は、スズメなどのようにその場からすぐ飛び立てません。
水面で助走をつけて飛んだり、高いところから風に乗って飛んだりします。
白鳥が水面を駆けるように助走してから飛び立つシーンをテレビとかでみた人もいるのでは?あのような感じで飛び立つんですね。
なので、このコアホウドリ、地面の上に降り立ってしまって助走も取れずどうやって飛び上ったものか...と困ってた所だったんでしょう。
特に怪我もなく元気そうなため、早く野生に返してあげよう!ということになりました。
とはいえ、この辺で生息していないコアホウドリを簡単に放鳥するわけにはいきません。
アホウドリに詳しい方に連絡したところ、どうやらこのコアホウドリは小笠原に生息しているコアホウドリではなく、ハワイ生まれの個体で、繁殖期に向けてハワイに帰るところなのではないかとのことでした。
それならハワイに帰っていけるようにと、急遽三浦半島の先まで車を走らせ、太平洋に向けて放鳥することにしました。
海岸で向かい風に向かって放鳥すると良いと聞いたため、放鳥に良さそうな海岸を捜し、いざ放鳥!
見た目は怪我なく元気そうでもちゃんと飛べるか...放鳥の瞬間までドキドキです。
そんな心配をよそに...無事に飛び立ちました!!!
無事に野生に返すことが出来て、ほっと一安心。
ハワイまで元気に飛んでいき、子孫をたくさん残してくれることを祈ってます。
(飼育展示係 百武)