更新日:2022.11.03動物園での過ごし方
更新日:2022.11.03
動物園での過ごし方
動物園での動物たちの暮らし方を豊かにするために、
あるいは、野生動物本来の野生での暮らし方を飼育下でも再現させてあげようという試みから、
環境エンリッチメントという概念を飼育管理に取り入れるようになったのは遠い昔のことで、
今では当たり前の飼育方法となっています。
最近になって、動物の福祉という概念に重きを置かれるようになってからは、
実際に取り組んでいることが飼育下で暮らす動物たちにとって本当に幸せだろうか?
ということが盛んに言われるようになってきました。
飼育員本位のエンリッチメントを進めるあまり、
やりたくもないミッションを強制されてストレスを感じている動物はいないだろうか?
自分が取り組んでいるものも、ただの自己満足に過ぎないのではないだろうか?
そんな疑問を動物たちに聞いてみたくなって、こんな実験をやってみました。
ツキノワグマのサンペイとコマチに参加してもらって、クマ舎に自動給餌器を設置します。
タイマー設定のできる熱帯魚用をクマたちに壊されない場所に設置します。
クマは、あんな巨体であっても木登りが得意で、動物園でも上下立体的に展示場を使っています。
こちらは上の段で、天井部分に設置したものです。
秋の野生のクマは、自分を太らせるために広範囲を移動しつつ、秋の味覚を貪り食べていると伝え聞きます。
そんな風景を思い浮かべながら、なんとなく再現させてみたつもりです。
コマチの寝室にぶちまけた落ち葉がいつのまにかベッド状にしつらえてある季節となりました。
彼らの住環境を整えてあげるのもエンリッチメントのはずです。
今後のデータ解析が楽しみですが、もっと落ち葉を増やしてあげようと思う今日この頃、
あなたにとっての幸せってどんなものですか?
(飼育展示係 川崎立太)