更新日:2022.08.02ありがとうミゾタロウ
ありがとうミゾタロウ
残念なお知らせですが、7月16日にミゾゴイのミゾタロウ(推定11歳)が起立不能による衰弱で死亡しました。
元々右脚が悪く、移動するときはぴょんぴょん飛び跳ねるように歩いていましたが、
6月中旬に展示場で立てなくなっていたため動物病院で治療を行いながら様子を見守っていたところでした。
ミゾゴイは展示場の位置も相まって園内でも目立ちにくい存在で、ブログにもあまり登場していなかったので、
この4月から担当になり「よし、もっとミゾゴイやミゾタロウの魅力を伝えられるよう頑張るぞ!」と
意気込んでいた最中の出来事でした。
新米飼育員の私がミゾタロウと過ごした三か月。少し長くなるかもしれませんがお付き合いください。
4月、初めて会ったミゾタロウは見慣れない人間に警戒心MAX。首を伸ばして枝に擬態したり、
なかなか私の前では餌を食べに来なかったりという日々が続きました。
しかしミゾゴイの中では警戒心の弱いミゾタロウはすぐに目の前で餌を食べてくれるように!
朝ミゾゴイ舎に行くと扉の前で私を待っていてくれるようになりました。
そこで単純になりがちな日常を少しでも楽しんでもらえるように、
そして皆さんに普段はあまり動かないミゾゴイの動いている姿と
この時期ならではの行動をご覧いただけるように4月の後半に巣台を設置してみました。
ミゾゴイの繁殖期は4月~8月。使ってくれてもくれなくてもいいけど、
少しでも野生と同様の暮らしに近づいたらいいなぁなんて考えながら設置してみましたが...
どうやら巣台の位置と大きさ、そして設置する時期がお気に召さなかったようでした。
ちなみに昨年は5月末に設置したとのことです。
そこで時期を改め、5月の中旬に巣台2号を設置してみました。
するとその直後に新しい巣台を偵察しに来るミゾタロウの姿が!
普通は見知らぬものには警戒して近づかないと思うのですが...
さすがミゾタロウと思った瞬間です。
それからは毎日枝を咥えて運ぶ姿が見られました。
特に朝と夕方の給餌の時間には、毎回その日のお気に入りの枝を咥えてやって来る姿が印象的でした。
時には餌皿がこんなに枝だらけになることも。自分で枝まみれにして、
食べ辛そうにしている姿には思わず笑ってしまいましたが、
それだけ枝に夢中になってくれていたんだね。
あるときは営巣中に上から見下ろしていたり
またあるときには枝を咥えて力強く飛び上がったり
段々と巣が大きくなっていきました。
展示場で過ごす最後の最後までそんな姿を皆様にもご覧いただけたかと思います。
(ミゾタロウが作成した巣)
ミゾタロウは2011年の11月、幼鳥の時に保護され、それから10年と半年間を野毛山動物園で暮らしてきました。
世界に約1000羽、日本でしか繁殖が確認されていない希少な鳥。
そんなミゾゴイのことを私たちに沢山教えてくれる大使として頑張ってくれました。
ここまでミゾタロウのことを応援して下さった皆様、本当にありがとうございました。
そしてミゾタロウ、長い間お疲れ様。短い間だったけど貴重な時間をありがとう。
ミゾタロウから教えてもらったことを胸に、これからも私はミゾゴイを応援し続けます。
ずっとミゾゴイ応援団 長野