更新日:2021.11.02劇的??ビフォーアフター
劇的??ビフォーアフター
突然ですが、皆さんは鳥類の趾瘤症(別名バンブルフット)をご存じですか?
運動不足や過体重、ビタミン不足、不適切な止まり木や環境などによって、ヒトでいう「タコ」のようなものが足裏にできてしまいます。
特に動物園では、平坦なコンクリートの床での飼育環境や、運動不足による肥満などが起きやすいため、趾瘤症予防は大きな課題です。
さらにこの趾瘤症は強い痛みを伴ううえに、放っておけば細菌感染を引き起こし、慢性的な炎症によって足裏だけでなく肝臓や腎臓といった全身にも悪影響を及ぼすこともあります。(アミロイドーシスといいます。)
バンブルフットという面白い?名前のわりに、命にも関わるなんて恐ろしいですね...
さて、今回はメスのアカツクシガモの歩き方がおかしいという話を聞き、さっそく様子を見に行きました。(現在アカツクシガモは展示しておりません)
今回の患者さんです。
じりじりと警戒されていますが、捕獲して足裏を見せてもらいます。ごめんよ~!
足裏です。両足ともに大きな「タコ」ができ、趾瘤症になっているのが分かるでしょうか?
これでは、歩くのも痛くてとても辛いことが分かります。
そこで治療に使うひみつ道具がこちら!
自着式包帯と、ホームセンターなどで売っているパイプ保護材です。いったいこれをどうするのかというと...
パイプ保護材を、アカツクシさんの「タコ」の大きさに合わせてカットし、くるりとドーナツ状にします。
そして周りをこのように自着式包帯でぐるぐる~っと巻いて補強したら、完成です!
これを「タコ」に当ててテーピングをし、患部が直接地面に触れないようにします。(アカツクシさんに実際に装着している写真を撮っていませんでした...ごめんなさい)
ということで!1週間ごとにテーピングを交換しながら経過をみました。
治療を始めて1週間後の右足です。特に大きな変化はなく、まだまだといった感じです。
2週間後、「タコ」がふやけてきました。
3週間後、おお!どんどん「タコ」が小さくなっていますね。
4週間後、ポロリと「タコ」が取れました。見ていてとても気持ちがいいです(笑)
そして5週間後...ついに...
(右足)
(左足)
なんということでしょう。匠の技?!で、見違えるほどに美しいおみ足になったではありませんか!
1か月以上かかりましたが、これにて治療終了です。これでもう痛くないですね。今後も再び「タコ」ができないように、地面に人工芝などを敷いて予防します。
アカツクシさん、本当にお疲れさまでした!
今年度から医療班に所属し、大学で学ぶ動物種は限られるので動物園での診療は本当に勉強の日々です。
驚きや発見など、動物たちから毎回多くのことを学ばせてもらっています。
今後も、獣医チームの診療の一部などご紹介できたらと思います!
獣医一年生 真砂聖令菜