更新日:2021.09.02キリンたちは寝室でも!
キリンたちは寝室でも!
残暑が厳しい今年の夏。
キリンたちもこの暑さはつらいようですが、涼しくなった夜間はしっかりとエサを食べているので、ご安心ください。
さて、以前、キリンの展示場に採食場所をいっぱい増やしました!という報告をしました。(紹介したブログはこちら)
担当者の気分によって、フィーダーの場所や数を変えたりしてきました。実は、この取り組みを通じて、モミジにある変化がありました。
モミジは中展示場と大展示場を開放しているとキリン舎側の中展示場に滞在する時間が長かったのですが、現在ではフラミンゴ側での滞在時間も増えました。大展示場には火山礫が敷いてあるので、そちらでの滞在時間が増えることで蹄が自然に削れていくことが期待できるのです!
そして、このフィーダーいっぱい作戦を6月より寝室でも展開しています。
1日のうち、一番長く過ごす場所は寝室です。そして、一日の半分以上を採食に費やすキリンたちです。寝室でやらずに、どうする!むしろ、今まで何をしていたんだ担当者...というわけで、さっそく!!
どんなものを設置するかで悩んでいましたが、シンプルに籠を柵の外につけました。
寝室は柵という昔ながらの作りですが、舌を使ってペレットを食べてもらうのにちょうどいい感じです。
飼料庫担当からおすそ分けでもらったキャベツも上手にとります。
さて、わざわざキリンたちが食べにくいことをするのか!?いやがらせ...ではありませんよ。
キリンたちは木の葉を主食にしており、食べる際には長い舌をフル活用して食べます。一方、動物園では木の葉だけではなく、乾草やペレットなども給餌していますが、こちらはエサ籠にいれるだけでは、あまり舌を使わなくても食べることができてしまいます。
採食や反芻に費やす時間を少しでも増やしつつ、舌を思う存分に使ってもらうため、今回は寝室にはこの籠を4~7つ設置しました。
特に、ペレットは1度にたくさん与えてしまうと、胃内環境の急激な変化を起こす可能性があります。そのため、当園では1日分を3回以上に分け、さらに舌を動かし唾液がたくさんでるように、いくつかのフィーダーに入れて与えています。胃内環境の急激な変化を防ぐことは、キリンたちの胃内にいる微生物を守ることになります。キリンを健康に飼育するためには、目には見えない胃内の微生物にまで配慮が必要ということです。
さらに、寝室にこんなものも設置しています。
葉っぱはありませんが...日中、展示場で食べた枝をあえて寝室に設置しています。
夜間、エサ籠や柵に体をこすりつける様子などがあったので、ブラシや人工芝を設置しようかな~と思っていたのですが...当園にはいたずらっこ(そら)がいますので...躊躇していました。
そのため、口にしても食べても安全、100%天然素材の枝を設置してみました。
木の葉やペレットなどを食べ終えたあとに、この枝をハムハムする「モミジ」。キリンは木の葉だけではなく、小枝や木の皮も普段から食べるので、ブラシという役割よりも夜食のおともになっているようです。
これらの取り組みによって、キリンたちの採食時間や行動に変化があるのか、監視カメラで行動調査も行っています。今後も24時間365日、キリンたちの1日がより良いものになるように、これからも試行錯誤して取り組んでいきたいと思います。
(飼育展示係 落合)