更新日:2020.08.05旬に乗りすぎて
旬に乗りすぎて
(お話の中盤でてんこ盛りのイモムシの画像が登場しますので苦手な方はご注意ください)
先日「今が旬の」で紹介しましたアゲハ(ナミアゲハ)の幼虫ですが......
幼虫がつぎつぎと大きくなり、餌であるサンショウの木の葉は2-3日でほとんどなくなってしまいました。
自然の摂理としては餌がなくなったら自力で餌にたどり着かない限りそこで終わりなのですが、そもそも動物園の植栽で人為的に栽培しているものについたチョウの幼虫を観察しているという状況なので、救済策を検討しました。
園内には大きなナツミカンの木があり、秋の終わりには黄色の大きな実をいくつも付けているのでご存知の方もいらっしゃると思いますが、規模に余裕のあるこの木に(サンショウで育った幼虫が食べるのかわかりませんが)引っ越すことにしました。
昼休みにサンショウの木に幼虫回収に行きました。そこそこ数がいるだろうとは思っていましたが......
ここにも、ここにも、と回収すると30匹以上いましたか......。アゲハの幼虫もこれだけ集めるとなかなか見ない光景ですが、デュビアの眼力や養蚕の迫力に比べるとそれほどでもありません。とりあえず袋に入れてナツミカンの木に向かいます。
ナツミカンの葉に幼虫を乗せます。サンショウの枝にガッチリつかまっていた幼虫たちですが、別の木に乗せようとしてもなかなかしっかりつかまないので意外と時間がかかりました。
また、サンショウの木のところの動物担当の職員が「こないだ植栽を刈り込んで小さくしちゃったんだよな......」と言って、自宅の庭からサンショウの枝を取ってきてくれました。例のサンショウの木にはまだ数匹の幼虫が残っていたので、この枝に移して元の場所に似た環境の園内某所に置いてみると、空腹の幼虫たちが葉に食いつく様子が観察できました。
大きな終齢幼虫たちはだんだんと姿を消していきました。夜のうちに離れたところに移動して蛹(さなぎ)になったか、あるいは鳥やハチにさらわれたかもしれません。最後の1匹はまだ大きくなる余地があるものの、サンショウの枝がしおれてついに食べられる葉がほぼなくなったので、ナツミカンの木に移動しました。
ケースに入れて飼育するなどしなかったので、蛹を発見しないと蝶(成虫)になったところを見られないのですが、蛹は今のところ見つけられずにいます。ミカンのなかまの木を餌にするアゲハ類の蝶は園内でたくさん見かけるので、またミカンのなかまの木を観察していきたいと思います。
ご来園のみなさまもぜひ園内でいろいろな生きもの探しをしてみてください。
[桐]