更新日:2020.06.12新しい生活(様式) その② ~新たな一歩編~
新しい生活(様式) その② ~新たな一歩編~
今回も前回に続き、インドクジャクの『新しい生活』のお話です。
前回登場したヨウスケ父さんとサクラ母さんの間にはもう1羽、ジャックという息子がいます。
ジャックは今年4歳になる雄で、ライチとフタバとは違い、人工孵卵・育雛(人が卵を孵化させ、雛を育てること)で育ったインドクジャクです。
生まれてからずっと野毛山動物園の育雛舎で1羽で暮らしていましたが、上尾筒も立派になって、そろそろお年頃という年齢になってきました。
そこで同じく1羽で暮らしていた雌のリンとペアを組ませることにしました。
とはいっても、キジ類の雄は気性が荒く、繁殖期には雌を攻撃してしまうこともあるため、いきなり一緒にすることはできません。
まずはお互いを知ってもらうため、隣の部屋に住まわせ、顔見知りになってもらうことにしました。
あえてリンの餌皿を間仕切りにつけて、2羽の距離を近づける作戦も試みたりしました。
そして、非繁殖期になってから、毎日少しずつリンの部屋へジャックを連れて行き、2羽の様子を見ることにしました。
最初からリンは嫌がる様子もなく、ジャックが部屋に入ってきても落ち着いていました。
しかし、人工育雛で育ったジャックは飼育担当者と遊びたい方が優先してしまうこともしばしば。
それでも根気よく続け、徐々に2羽で過ごす時間を長くしてゆき、ジャックがリンに対して上尾筒を広げてアピールするようになってきました。
そして、今回の弟のライチと妹のフタバの親離れを機に、キジ舎で展示していたヨウスケ・サクラのペアとジャック・リンのペアを交代して同居展示することにしました。
始めに雌のリンを育雛舎からキジ舎へ移動し、その後、ジャックを移動。
ジャックは生まれてからこの方、外の世界を見たことがなかったため、キジ舎へ移動してきた直後、「ここは何処?」状態で、直立不動のまま動かなくなってしまい心配しました。
でも、移動当日の夕方にはリンの目の前で悠然と上尾筒を広げる姿が観察できました。
ジャック、やっと思う存分、自慢の上尾筒を広げられるね!
リン、ジャックのことを頼むね!
そして、今までキジ舎の展示個体として頑張ってくれていたヨウスケとサクラには、育雛舎でのんびり暮らしてもらっています。
ようやく、再開園した野毛山動物園。
インドクジャクのジャックとリンにとっては、新たなペアでの第一歩でもあります。
これから、この2羽のことを温かく見守っていただけると嬉しいです。
飼育展示係 大谷