
更新日:2025.09.15ヴェラ、安らかに
ヴェラ、安らかに
先日、「インドライオンのヴェラは展示場に出ていますか?」とお客様に聞かれることがありました。
皆さんに長い間ヴェラの元気な姿をお見せすることができずに申し訳ありませんでした。
実は、8月26日に致死的処置を行いました。
ヴェラの様子に変化が現れ始めたのは6月末頃。時々餌を残す様子が見られたのですが、今年の夏も厳しい暑さが続き、ヴェラだけでなく他のインドライオンたちも展示場の木陰で休んでいることが多く、最初は夏バテ気味なのかと思っていました。
ところが、気温が数日下がった時でも食欲は変わらず、7月末頃からさらに食べる量も減っていき、動きも緩慢になってきたため、8月中旬に麻酔下で検査をしたところ、腎不全であることが分かりました。
腎不全は治療ができず、餌の内容やあげ方を変えましたが餌を食べない日が続いて衰弱していく様子も見られたため、ヴェラのQOL(生活の質)を維持することが困難であると判断し、残念ではありますが致死的処置を行いました。
ヴェラは昨年3月に1歳年上のきょうだいであるメスのバーラ(14歳)と共に、シンガポール動物園から来園しました。
警戒心が強いバーラとは異なり、おおらかで物怖じしないヴェラは新しい環境にもすぐに慣れ、同年5月上旬から展示場に出て過ごしていました。
展示場では、よく後ろ足で穴を掘っていたヴェラ。色々なところにできた穴を埋めるのに苦労し、飼育担当者泣かせの一面もありました。
そのようにのびのびと過ごしていくうちに、来園当初はたてがみも少なくてしょぼしょぼとした印象だったヴェラですが、
次第にりっぱなたてがみも生え、オスのインドライオンらしい姿になりました。
もう1頭のオスのバドゥリ(14歳)がヴェラに反応して興奮しながら吠えても、気にせずマイペースに過ごすヴェラ。
また、寝室でゆっくり過ごしていても、隣室のバーラが展示場へ出ていこうとすると、あとを追ってサブ運動場に出たり、よく柵越しに頭をつけてバーラと互いの様子を気にしたりして、バーラとは良好な関係でした。
そんなおだやかな姿が印象的なヴェラでした。
来園から約1年半、そして13歳という短い一生でしたが、ヴェラを通して考えさせられたこと、学んだことがたくさんありました。
今後もその経験を活かし、インドライオンたちが健康的に過ごせるように努めていきたいと思います。
久しぶりのインドライオンのブログが悲しいご報告となってしまい残念ですが、ヴェラのことを気にしてくださり本当にありがとうございました。
インドライオン担当者