
更新日:2023.04.07となりのオットセイその3
となりのオットセイその3
こんにちは。
いつも自然な姿のオットセイを写真に収めたくてカメラを構えるのですが、顔を覚えられている手前、いつも同じアングルになってしまいます。
オットセイに認識されているからこその、幸せな悩みなのかもしれませんが。
ある日、今日も同じアングルだわと園路から写真を撮っていると、オットセイが何かをモグモグしているのを見つけました。
「あれ、餌の時間でもないのに何だろう?」
嫌な予感がしたので急いで獣舎にもどり、展示場へ向かいました。
呼びかけると近くまで泳いできましたが、まだモグモグしており、口の端から何かがはみ出していました。
よく見るとそれは...ビニール袋の破片でした。
あわててビニールの端をつかんで引っ張り、回収することができました。
仮にオットセイに食べるつもりがなかったとしても、口に入れて遊んでいる間に、誤って食べてしまうかもしれません。そうなれば消化管の炎症や閉塞をおこしてしまう危険性があり、とても危険なのです。
私は海やプールに潜ることが多いのですが、ある時ふと気が付いたのです。ビニールって、水中から顔を上げて見上げて見ると、とってもきれいなんです。キラキラと光りながらユラユラと浮き沈みをして、それは美しくてクラゲのような生き物にも見えます。触りたく(動物だったら食べたく)なるのも仕方ないなと感じるのです。
写真はオットセイ展示場プールの水中から見上げた、ビニール袋の様子です。
とっても魅力的にみえませんか?
私が担当している、動物と環境について学ぶ「ズーラシアスクール」で昨年2月にオットセイの暮らす海の環境について子どもたちと考えました。(その時のブログはこちら:ズーラシアスクール第6回目を実施しました!)
ある時、海の環境問題としてとりあげられている「海洋プラスチック」が実際にどのくらいあるのかを確かめに、近所の海へ出かけました。
プラスチックを意識しながら波間を眺め、海の砂を手に取り、持ち帰った砂を我が家の顕微鏡でのぞいてみると...あるわあるわ。
上の写真でプラスチックのかけらがいくつあるか、探してみてください。
老眼の私に見えるのはこのぐらい(丸がついていないのもあります)。
結構、たくさんありますよね。私の想像よりもはるかに細かく、はるかに多く、プラスチックの破片は海と砂と波間に見渡す限りに広がっていました。
正直、ちょっとゾッとしたぐらいです。
これからもずっと美しい海で暮らすオットセイや他の生き物たちの姿が見られるようにしたい。
そんな気持ちが大きくなった、出来事でした。
では今日はこの辺で。
飼育展示係 五十嵐