
更新日:2021.03.02ダッシュのワクチン接種
ダッシュのワクチン接種
少し前の話になりますが、昨年12月末、アムールヒョウのダッシュ(オス・12歳)は、3年に一度のネコ科の3種混合ワクチン接種に挑みました。
挑んだと書きましたが、本人(ダッシュ)はそんなに覚悟のいることではありませんでした。なぜなら...という話をしたいと思います。
さかのぼること3年前。私がダッシュの担当になって2年目の冬、ワクチン接種の日はやってきました。
当時は、まだ私も臆病なダッシュとの付き合い方に思案中で、上手にトレーニングができていませんでした。そのような個体に対するワクチンの接種方法には"吹き矢"が用いられます。
いつもと違う雰囲気、獣医師に吹き矢を向けられて、緊張して威嚇するダッシュ。ワクチンを打たれて怒るダッシュの顔を忘れることができませんでした。
ワクチン接種は健康管理のために必要なことです。仕方がないとはいえ、ダッシュを怖がらせてしまったことから、目標ができました。
「次のワクチン接種がある3年後、ダッシュが怖がることなく必要な処置を行えるようになっていること。」
そして、5年目の冬。
3年間ずっと、毎日少しの時間でもダッシュとトレーニングを続けてきました。3年の間に、尾からの採血もできるようになりました。"獣医師が来て、座るとお肉をもらえる、恐いことは何もない"ということがダッシュの日常になったのです。定期的に行っている採血の様子
その結果、目標のとおり、吹き矢を使うことなく、ワクチン接種を行うことができました!以下、動画を切り取ったため少々わかりづらい画像ですが、その時の様子を紹介します。手前の網から少し隙間をあけて板を付けると、ダッシュが横から入ってきます。
そして自ら座ります。
手前にいる獣医師が、フックで尾を引っかけて出します。
獣医師の奥では、私が餌を与えています。獣医師がワクチンを注射します。
日ごろのトレーニングで採血もできるようになっているので、針が刺さっても気にしません。もくもくと餌のお肉を食べ続けています。
注射が終わりました!
最後に獣医師から大好きな鶏頭をもらいます。
「すごいねダッシュ~!!」私と獣医師でダッシュを褒めちぎりました。
「え、何が?」というようなダッシュのキョトン顔。
同じ処置でも全く違う、あの日の顔とこの日の顔。続けてきてよかった!!
動物が安心して、心穏やかに動物園で暮らしていくために、トレーニングがいかに大切か、ダッシュが教えてくれました。
現在、トライ(オス・1歳)もトレーニングを始めています!まだわんぱくなトライの遊びモードからの切り替えに頭を悩ませながら...。でも、いつか絶対!!
飼育展示係 永井