更新日:2021.03.20ウミネコの治療
ウミネコの治療
みなさまこんにちは!!傷病担当です(^_^)
今回は傷病で持ち込まれたウミネコの治療の様子をご紹介します!!
まず、ウミネコを知らない方もいらっしゃると思いますので、簡単に説明しますと、
ウミネコは日本を代表する中型のカモメで、嘴の先端部に赤と黒の縞があることと、成鳥の尾羽に黒い帯があるのが特徴で、海岸で1年中見ることができる鳥です。
横浜市内の動物園ではズーラシアで見れます。
今回このウミネコは、り糸が絡まって動けなくなっていた所を発見され、傷病で持ち込まれたのですが、
獣医さんが体に絡まった糸を慎重に取り除いてもまだ一部取れないところが・・・口の中まで続いてる・・・これはもしや・・・
糸だけでなく釣り針を飲み込んでいる可能性があるので、レントゲンを撮ります。
あーーーーーー!!!!やっぱり!!釣り針を飲み込んでいました。
想像していたよりも奥のほうへ針を飲み込んでいます(T_T)
これは取り除くのが難しそうです。
獣医さんが一生懸命針を取り除く治療をしています。私は治療の補助で見守ることしかできません。
獣医さんファイトです!
みなさま先ほどのレントゲンを見て、体内の針を取り除くのがいかに困難かお察しいただけた(?)と思いますが、それもそうです。
釣り針には餌や魚の口から外れるのを防ぐ"かえし"がついています。
かえしは、針先の方向とは逆の向きに尖った部分があり、人の手でも引っかかるとやっかいです。
人間でも外すのは大変なのに動物に引っかかったり、飲んでしまったら外すのがより大変になってしまいます。
中々取れずに悪戦苦闘を続け、最終手段"内視鏡"を使って針を取り除くことに。
ここからは私も補助に入り3人がかりで針と格闘します。釣り針、簡単に取れずに手強いです(-_-;)
釣り針と格闘すること実に1時間30分が経過・・・
あーーーー!!!!とれたぁぁぁぁ!!!!やったぁぁぁぁ!!!!!
針がとれた瞬間、思わず3人で大歓喜しました(^_^)
上の緑色のものが付いてる針が体内で引っかかっていた針で、下の針がお腹辺りに引っかかっていた針です。
体内の針、変色するほど長い期間体の中に引っかかっていたのですね(T_T)
保定と釣り糸&釣り針、体の動きを制御する全てのからまりから解放されたウミネコ。
ケージに移動した後、なんだかほっと落ち着いているように見えました。
その後、回復したウミネコは海の風にのって無事野生に帰り、今もどこかで元気に暮らしていると思います。
今回紹介したウミネコは偶然人に見つけてもらった事で治療が出来ましたが、海鳥たちは釣り糸が嘴に絡まって口が開かなくなって餓死したり、針や糸を飲み込んでしまったり、足や指、翼に糸が絡まりそのまま取れないでいると、やがて壊死して切断ということに。また、針が足にくいこんでしまったり、岩や木に引っかかって身動きが取れなくなってしまったり、放置された釣り糸や釣り針によって命を落としてしまっている事があるのが現状です。
特に最近のコロナ禍では3蜜を避けられるレジャーとして、釣りの人気が高まってきてた事も要因のひとつで、海鳥たちの被害が増えてきています。
海は様々な生物が生活する場です。私たち人間も日々豊かな海産物やレジャーなど海の恩恵を受けています。人と生物がどちらも害の無い生活のために、釣りを楽しんだ後はきちんと全てのゴミを持ち帰りましょう。命を落としてしまう生き物がいるのです。
飼育展示係 永井華