更新日:2026.02.22ミヤコタナゴを搬入しました
ミヤコタナゴを搬入しました
ミヤコタナゴは関東地方の固有種で、過去には関東圏に広く分布していたと考えられています。しかし、都市開発などにより生息環境が減少し、現在では栃木県と千葉県の限られた地域に生息するのみとなりました。1974年に国指定の天然記念物に指定され、自治体を中心に保護活動がおこなわれています。

(身近ないきもの館で展示中のミヤコタナゴ)
神奈川県では川崎市、横浜市、厚木市に僅かな記録が残されているのみで、自然水域からは絶滅してしまいました。神奈川県内最後の生息地は横浜市内の権田池という溜池でしたが、この池もすでに埋め立てられてしまいました。しかし、県内のミヤコタナゴが絶滅する前、昭和54年に当時の県淡水魚増殖試験場(現在の内水面試験場)に緊急避難が実施され、神奈川県のミヤコタナゴは命を繋いできました。
横浜市立動物園では昭和63年から野毛山動物園がミヤコタナゴの飼育繁殖に取り組み、野毛山動物園からミヤコタナゴを譲り受け、平成19年から金沢動物園での飼育が開始されました。最後に加わった金沢動物園ですが、既に20年近くミヤコタナゴを飼育しています。
(身近ないきもの館での展示の様子)
令和8年1月、相模原市にある水産技術センター内水面試験場からミヤコタナゴ100匹を搬入しました。どちらも横浜市権田池に生息していたミヤコタナゴの子孫ですが、別々の施設で長期間飼育されていた個体群を交流させることは遺伝子の多様性を回復させるなどの効果が期待されます。
(ミヤコタナゴを迎えに行きます)

(搬出準備されたミヤコタナゴ)
(無事に動物園に到着しました)
(繁殖に向けて体調管理をしていきます)
相模原市から横浜市内の動物園への搬入を終え、ふと里帰りみたいだなと思い至りました。改めて調べてみると緊急避難から47年もの時間が経過していました。
現在、各地の動物園や水族館、などで飼育されている権田池のミヤコタナゴは、約半世紀にわたって、多くの人たちが協力したからこそ命が繋がっています。自然の中では何百年、何万年と当たり前のように命を繋いでいる生き物たちですが、一度、自然界での生活場所を失ってしまうとその命を繋いでいくことは簡単ではありません。そして、当たり前に命を繋げてきた自然の仕組みを回復させることはもっと大変でしょう。
これはタナゴだけでなく多くの生き物に言えることです。自然と人との共生には、人間の都合だけでなく、自然に寄り添った考え方、行動が必要です。私たちには何ができるのか、皆さんと一緒に考えていければいいな。とミヤコタナゴを眺めながら思いました。
(先崎)