
更新日:2025.03.02トサミズキ
トサミズキ
春が近づくにつれて黄色の花が多いと思いませんか。寒い冬が続いたから、余計に暖かな日差しや明るい色合いに活力を感じるからかもしれません。実は、黄色は虫たちを呼ぶため。
さて、トサミズキは主に土佐(高知県)の山地に自生するマンサク科の落葉樹で。日本固有種です。枝を切ると水気の多い樹液が流れ出すこと、また、葉の様子がミズキに似ていることから、トサミズキと名付けられたそうです。
3月2日、蕾が破れて花が垂れ下がり始めました!
開花は3~4月。葉が出る前に枝から釣鐘状の淡い黄色い花が連なってぶら下がるのが特徴です。小花は直径7㎜程度で7~10輪が垂れ下がります。幹は直立、細い幹が多く株立ち状になり、枝は弓なりに屈曲して育つため、庭や公園に植えると野趣に富んだ雰囲気を作ることができます。
トサミズキに似た木にヒュウガミズキがあります。ヒュウガミズキの花は2~3個単位で葉も花も小さく、枝も細いので区別がつきやすいです。また、トサミズキの雄しべの先に葯(花粉の入った袋)は紅色、ヒュウガミズキの葯は黄色なので葯の色でも違いが分かります。
花が萎れるとその付け根から葉が出てきます。葉は枝から互い違いに生じ、直径5~10cmほどの円形~ハート形になります。基部はハート形で5~7対ある葉脈(側脈)が目立ち、折り目のように凹凸になることが特徴です。鋸歯は水かきのような形になっています。葉の裏や葉柄、若い枝には星状の黄色い細毛が密生し、手で触れるとザラザラした感じがします。
春の訪れを告げるトサミズキ。花が注目されがちですが、花の後の新しい葉が出てくる姿や葉のふちの赤み、波打つ葉脈など、展開する美しい葉の様子も楽しんでいきましょう。
金沢自然公園では、ののはな館周辺、梅林上部、なんだろ坂の階段脇などで見ることができます。
(行雲流水)