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サイのサイ血してくだサイの写真

更新日:2024.07.26サイのサイ血してくだサイ

更新日:2024.07.26

サイのサイ血してくだサイ

こんにちは!

今日はヒガシクロサイの「採血」についてご紹介します。

※ 血が写っている写真があります。苦手な方はご注意ください。

 

採血は、動物の体の状態を知るために行います。

ズーラシアで暮らすメスのヒガシクロサイ「アキリ」は、繁殖に関わるホルモンの動態を調べるため、最近定期的に採血を実施しています。

 

皆さんも、健康診断などで採血をされたことがあるかと思います。

看護師さんに「腕出してくださ~い」と言われて袖をまくって台の上に乗せて......。

しかし残念ながら、動物はみずから腕を出してはくれません。

動物の採血では、動物の動きを制限する保定を行ったり、トレーニングで動きを止めたりして採血を実施します。

また、動物種や採血量、採血時の状況(麻酔下or保定下)によって採血する場所が異なります。

ズーラシアにいる動物たちでも、ゾウは耳、トレーニング下でのクマは手の甲、麻酔下のシマウマでは首、中型の鳥なら翼、フリッパーの固いペンギンは足など、いろいろな場所の血管を使い分けています。

 

ではクロサイはどう採血するのでしょうか?

 

サイの採血では、一般的に耳か足の血管が使われます。

ズーラシアでは、最初は耳から採血しようとしていましたが、

・耳は血管が細く、ある程度の量を採血するのに時間がかかること

・足と比較して耳は感覚が鋭敏で、採血時に痛みを感じる可能性が高いこと

・アキリのトレーニング状況から、耳を持った状態でじっとするのが難しいこと

などの理由から、前足からの採血を試みることにしました。

 

1トン前後の体重があるヒガシクロサイ。

もちろん保定はできませんし、人が踏まれたり体当たりされたりしないように注意しなければなりません。

 

まずは飼育員がアキリを誘導し、採血をするのにちょうどいい位置に移動させます。

次に、獣医師が声をかけながらアキリの体を触ります。

急に触るとアキリがびっくりしてしまうため、声を出してここに人がいるよということを動物に伝えます。

また、サイに近づく時は、必ずサイの細かな動きを観察し、動く気配があれば一旦離れて様子を見ます。

採血場所への誘導.jpg

 

足を触り、血管の位置を確認します。

サイの前足の血管は見た目では分かりづらいため、触った時の感触で血管の位置を判断します。

血管の触知.jpg

 

飼育員にアキリの状態が落ち着いているか確認し、注射針を刺します。

針を刺す瞬間は動物が動いてしまう可能性が最も高い時であるため、針を刺す時は合図を出し、獣医師・飼育員ともにアキリの動きに注視します。

針を刺したら、針の位置を調整しながら血を採取します。

採血.jpg

 

針を抜く合図をしてから針を抜き、指で押さえて止血します。

止血.jpg

 

アキリが採血を嫌なものだと認識しないよう、終わった後は褒めたり餌をあげたりして終了です。

採血終了.jpg

 

採血は、動物・飼育員・獣医師みんなの協力により実施します。

これからも採血を続け、ヒガシクロサイの繁殖や健康管理に活かしていきます!

アキリ、ありがとう!

 

☆病院班☆