更新日:2017.08.01プロングホーン ブッチの近況
プロングホーン ブッチの近況
今回はプロングホーンのブッチの近況をお伝えしたいと思います。
当園で飼育しているプロングホーンのブッチは、今年15歳になりました。
日本の動物園でプロングホーンを飼育しているのは 金沢動物園のみ、そしてブッチ1頭だけです。
過去のブログでは度々、「高齢個体です」とお伝えしていますが、 野生下での寿命は7~10年といわれています。また、 プロングホーンは一般的に神経質な性格で、寿命を全うできずに死亡する例も多く、飼育が難しい動物だと言われてきました。
そんなプロングホーンは日本のじめっとした暑さが苦手。
高齢のブッチにとって、夏という季節を乗り切るのは、一つの山を越えるくらいとても辛く大変なものだと思います。
そのため、夏の間は室内にスポットクーラーを設置して涼しい場所をつくり、ブッチが好きなところに行けるようにしていました。
(▲室内でスポットクーラーにあたる様子。昨年8月撮影)
今年の夏も同様、涼しい場所を作って...と、用意を始めていましたが、
7月初めの朝、ブッチは自力で立ち上がれなくなっていました。
検査の結果、体の内臓等の異常はみられず、立ち上がれなくなってしまった原因は脚にあることが分かりました。
(▲当日治療している様子。右後肢から点滴中。)
最近のブッチは、歩く時や立ち上がる度にふらついてしまうくらい足腰が弱くなっています。
これは骨折や病気ではなく、年をとるにつれて骨が変形してしまった為です。
実は私が担当していた約2年前にはこんな看板を作り、掲示していました。
この当時から歩き方の異常はとても気になっており、様々なことを試しながら改善してきました。
そんな当時と比較しても、今のブッチは足腰に一層の負担がかかっています。
現在は担当者だけでなく、 周りの職員や獣医の知恵と経験を生かして、医療的な検査や治療、飼育環境の改善について、ブッチの負担が軽減されるよう試行錯誤を重ねています。
7月下旬には、調子が良い日は室内に設置したおもちゃ(木の葉)で、角遊びが出来るほど、回復しました。
(▲7月22日撮影)
現在は非展示になっているのでお客様からはご覧いただけませんが、養生のためですので、どうかご理解をお願い致します。
ブッチの近状については随時ブログでお伝えしたいと思います。
(▲7月25日撮影。担当者のにおいをいつも嗅ぎに来ます。)
(飼育展示係 松野)