
更新日:2016.03.11早春の花 5選
早春の花 5選
弥生三月、啓蟄(今年は3月5日)も過ぎて、
寒さがゆるむとともに、周囲の空気はにわかに春めいてきました。
シジュウカラのツーピー・ツーピーというさえずりが、一段と明るく感じられます。
梅林ではかわいらしいメジロたちが押しあいへしあい、
まるで子供達が遊びを楽しんでいるかのようです。
公園内南面の陽だまりでは、例年よりはやくアマナが咲き出しました。
アマナはユリ科で、かつてはチューリップ属に入れられていましたが、
花茎の上部に一対のリボンのような苞葉がつくことから、現在はアマナ属として独立しています。
晴れた日にはよく開きますが、くもるとすぐ閉じてしまうのが難点です。
写真を撮るタイミングを、見計らわなくてはなりません。
見かけは地味ですが、小さな原種チューリップそのものです。
アマナはカタクリやニリンソウに代表される春植物のひとつで、
スプリング・エフェメラルとも呼ばれます。
「春のはかない命」とか「春の妖精」と訳されています。
スプリング・エフェメラルの仲間は一般的に小柄で、
丈の高い植物が成長を始める前の早春に花を咲かせ、
本格的な春には葉だけになって、それ以降は地下部分だけで越冬します。
「花の命は短くて...」を地で行くようで、けなげですねえ。
二番手。アマナの群落にまじってジロボウエンゴサクが咲いていました。
ジロボウエンゴサクはケシ科で、このあとに咲くムラサキケマンと同じ仲間(同属)ですが、
ずっと小さく繊細にした感じと言ったらいいでしょうか。
エンゴサクとは聞き慣れない名ですが、漢名の延胡索をそのまま日本語読みしたもので、
漢方薬に用いられるのだそうです。
野草とは言えませんが、スプリング・エフェメラルと生活環がよく似たハナニラも咲き始めました。
白またはうすいブルーがかった6弁花で、欧米ではスプリング・スターとも呼ばれています。
なかなかすがすがしいものです。
ハナニラは南米アルゼンチン地方原産のユリ科の植物で、
たしかにニラに似た葉で、もむとニラのような匂いがしますが、
野菜のニラ(ネギ属)とは別属に分類されています。
花が終わると葉だけになり、梅雨のころにはそれも消え失せて
地下の球根だけになって夏を越します。
捨て植えのまま、全然手をかけずとも年々子球で殖えて
大きなマット状の群落になることもあります。
数ある園芸植物の中でも、コストパフォーマンスは
第一級にランクされるもののひとつでしょう。
ところで、気象庁の桜の開花予報によれば、この冬は比較的暖かく推移したため、
東京地方では平年3月26日よりやや早めの開花になるだろうとのことです。
本格的な花の季節まであと少しです!
サンシュユ。ハルコガネバナとも呼ばれます。
マンサク。よじれたひもみたいな花弁です。
しだの谷の閉鎖が続くあいだ、散策される方々には急階段の山道に
迂回していただく等ご不便をおかけしていましたが、7つの小橋の架け替え工事が終わって、
今月1日より元通り通行できるようになりました。
散策にハイキングに絶好の季節となりました。
ぜひ金沢自然公園へお越しください。
(担当:マグノリア)