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第6回 ウマの小話「ウマの体③(耳・歯)」の写真

更新日:2026.02.04第6回 ウマの小話「ウマの体③(耳・歯)」

更新日:2026.02.04

第6回 ウマの小話「ウマの体③(耳・歯)」

前回のブログ:第5回 ウマの小話「ウマの体②(目・鼻)」

 

<耳>

飼育作業の合間にモウコノウマを観察していると、急に何かの音に反応して耳を立て、その方向を凝視していることがあります(私には何も聞こえませんが)。ウマは聴覚がとても発達していて、人間が聞くことができる20ヘルツから20キロヘルツ程度を超えて、30キロヘルツ以上の高音域の音を聞くことができると言われています。また、4km先の音も聞き分けられるとされていて、耳を180°回転させることもできるため、音の方向を正確に見極めることが可能です。ちなみに、草を食べている際には、地面の振動を顎の骨を通して感じることもできるとされています。

さらにウマの耳は、感情を表現するのにも使われています。攻撃的な時は耳を後ろに伏せ、注意を向け興味を持っているときは耳を立てその方向に向けるなどします。また、リラックスしているときは耳を通常より開き、不安な時は耳をあちこちに動かし続けます。

攻撃的になり、ジャスミンに後ろ蹴りをしているカルミア.jpg

攻撃的になり、後ろ蹴りをするモウコノウマのカルミア(左)

リラックスして木の葉を食べるモウコノウマのカルミア.jpg

リラックスして木の葉を食べるカルミア

 

<歯>

ウマの歯は、主食である草を効率よく食べられるように発達しました。門歯(前歯)が上下6本ずつ(合計12本)、臼歯(奥歯)が上下左右6本ずつ(合計24本)、加えてオスは犬歯(牙)が上下左右に1本ずつ(合計4本)あります。門歯が上下にあるのは、草を食べる時に、栄養豊富な先端の硬い部分だけ挟んで噛みちぎることができるようにするためです。さらに臼歯は硬い草をしっかりと咀嚼できるように大きく発達し、摩耗することがないよう一生伸び続けます。一方、ウマ以外の草食動物であるキリンやウシなどの反芻動物の門歯は下にしかありません。ウマのように栄養価の高い草の先端だけを選択して食べることは難しいですが、反芻によって効率よく栄養を吸収することができるようになっています。

ちなみに歯の話とは少し違いますが、ウマの顔が長いのは、草むらで採食する際に、目と口の位置が離れていたほうが、肉食獣の接近に気づきやすいために、進化したとされています。

グラントシマウマの頭骨.jpg

グラントシマウマの頭骨(門歯が上下にある)

キリンの頭骨.jpg

キリンの頭骨(門歯は下のみ)

 

このように動物の感覚器官や体の仕組みを理解することは、彼らの環世界(動物がそれぞれの感覚器官を通して感じている独自の世界)を知ることに繋がります。

環世界を知ることで、普段何気なく見ている動物たちの行動が変わって見えてきませんか? 

さらに環世界を知ることは、私たち人間の感覚だけで自然環境を見ることの危うさや、異なる生物同士が実はそれぞれの感覚器官を通して繋がっていることを理解することでもあります。

動物園を訪れることで、生き物には私たち人間が見ている世界とは違う、別の大切な世界があることを感じてもらい、多様な生物が暮らす地球を大切に思う人が増えてくれたらと思います。

 

次回は、第7回 ウマの小話「ウマの家畜化①」です。

<モウコノウマ担当>