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ニホンライチョウの来園と死亡についての写真

更新日:2025.06.03ニホンライチョウの来園と死亡について

更新日:2025.06.03

ニホンライチョウの来園と死亡について

ニホンライチョウは(公社)日本動物園水族館協会 ※以下「JAZA」が行う

ライチョウ生息域外保全実施計画に基づき、JAZAに加盟する動物園で連携して繁殖、飼育技術の確立や教育普及を行っています。
このうち当園では年齢や血統管理上の理由から繁殖に参加しなくなった個体を預かり、展示を通じた教育普及活動の役割を担っています。
その一環として、4月15日上野動物園より2羽のニホンライチョウが来園しました。

オスのN14(左)とメスのN75(右)です。

1来園当日のオス.jpg
2来園当日のメス.jpg

ニホンライチョウは絶滅危惧種として、国が定めた血統登録番号で管理をしているため、愛称はつけず、ニホンライチョウ飼育動物園共有の番号で個々を管理しています。

来園当日から落ち着いた様子で、2羽とも餌をよく食べていました。

N14は繁殖期のオスらしく、目の上の肉冠が赤みを持ち、独特な「グエー」という鳴き声をあげ活発に動いていました

3鳴いているオス.jpg
鳴いているN14

来園3週間ほど経ったころ、N14は食欲不振を契機に、動きも緩慢になってきました。上野動物園との情報交換に基づき必要と考えられる治療を実施し、回復を目指しておりましたが、残念ながら5月13日に死亡しました。

前日より歩行の回復傾向が見られ、当日の朝もN14は起立しており、採餌確認もできて一安心しておりましたが、15時30分ごろから呼吸が粗く一か所にとどまる様子が見られ始め、16時30分に獣医とともに死亡を確認しました。

N14は8歳でニホンライチョウとしては高齢に差し掛かってはいましたが、新しい環境にも慣れてきて公開に向け展示場の練習を開始する矢先の出来事でした。

外傷はなく、獣医の解剖による肉眼的所見から推察される死因は「心タンポナーデ(※)」で、要因としては循環不全が疑われます。

死因の確定診断のため、専門家による解剖臓器の組織学的検査を行います。

※心タンポナーデ・・・心臓を包む心嚢に液体が貯留し、心臓の正常な機能が阻害される状態で、ひどいものでは心臓の動きを阻害し死に至ります。

大変残念ながら、来園後間もないお別れとなってしまいました。
今回の症例をライチョウ飼育園で共有し、今後のライチョウ飼育へ役立てていきます。

メスのN75については産卵期を終え、体調が安定する夏ごろに展示場の練習を開始する予定です。

当面、ライチョウ舎はお休みとなりますがご理解のほどよろしくお願いいたします。

4換羽の終わったメス.jpg

現在のメスN75 夏羽になりました。