更新日:2020.05.22メスたちは・・・ ミラクル編
メスたちは・・・ ミラクル編
「新入り」に当たりの強いメスチーム、今回はミラクルのお話です。
こちらがコウタロウのお母さんで、19歳のメス、ミラクル。
ミラクルはピーコさんのように感情がすぐ行動に出るタイプではなく、その分逆に、何を考えているのか分かりにくい所のあるチンパンジーです。
しかし周りの状況は相当よく見ているようで、自分がコウタロウと遊んでいる時など、時折「ギロッ」とミラクルの鋭い視線を感じます。
また枝葉を手渡しで与える時も、受け取る瞬間に「グッ」と力を入れて睨んでくるなど、静かな迫力が・・・。
ミラクルに一番困らせられるのは、朝の放飼時。
4頭の中で最も食欲旺盛なミラクル、普段は展示場の朝ご飯を目指してすぐ外へ出て行ってくれるのですが、時々、寝室にドシンと腰を下ろして、一歩も動いてくれない日があるのです。
コウタロウが「お母さん出ないの?」と呼びに来ても、微動だにせず。
そして自分が自動扉のボタンから少し離れた隙に、外の餌をすばやく集めて、再び寝室に戻っているのです・・・。
また当園では、チンパンジーとコミュニケーションを図る事や、彼らが怪我や病気をした時に薬を飲ませられる事を目的として、毎日ペットボトルに入れた少量の牛乳を檻越しに与えており、先日初めて一人でミラクルに牛乳を与えてみたところ・・・
初めはおとなしく飲んでくれていたので、「これなら大丈夫だ」と油断した直後、ペットボトルを檻の中に引っ張り込まれ、牛乳を奪われてしまいました・・・。
念のため一番小さな格子越しに与えていたので、ミラクルは指先でしかペットボトルを引っ張ってなかったのですが・・・。
チンパンジーの桁外れのパワーと、「これからも気をつけて接していかなければ」という事を、改めて実感した出来事でした。
(一晩チンパンジーたちのおもちゃとなったペットボトルは、翌朝ペシャンコになって回収されました。)
一筋縄ではいかないメスチーム。
何よりも安全第一、しかし過度に怖がるのも良くないので、あまりビクビクし過ぎず、焦らずゆっくり、時間をかけて彼女たちと関係を築いていけたらと思います。
とは言うものの・・・
やっぱり今は、メスチームがめっちゃ怖いです・・・。
(新米チンパンジー係 伊原)