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ゾウとバナナの写真

更新日:2023.05.06ゾウとバナナ

更新日:2023.05.06

ゾウとバナナ

ゾウの好きな食べ物は?と聞かれたら「バナナ」と答える人も多いと思います。確かに、ゾウの生息地には野生のバナナが自生していて、野生のゾウの食べ物の一つです。ただ、金沢動物園では、人間用の甘いバナナはカロリーが高く太りやすいので与えていません。

それでは、なぜバナナの話を?

実は、横浜市内でバナナを栽培している農家さんが一軒だけあるのです。残念ながら、今年の収穫を最後にバナナ栽培は終了してしまうとのことですが、ゾウとバナナの関係をご来園の皆様に知っていただくよい機会ですので、収穫後のバナナの葉と茎を、港北区にあるカネコ農園さんからいただくことができました。

切り出し.jpg

金沢動物園でインドゾウを飼育して40年近く。これまで、おそらくバナナの葉・茎をあげたことはないような気がします。

初めての食べ物に、ゾウたちがどんな反応をするか楽しみです。お昼のトレーニング終了後に、石の柱に立てかけてプレゼントしました。

準備中.jpg

 

最初にたどり着いたのはヨーコです。

ヨーコ到着.jpg

 

バナナの真横に立ち、ボンに取られまいとガードしています。

葉っぱを一枚、ちぎって食べました。が...、あまりお気に召さなかったようで、あっさりと他の餌を取りに離れ、ボンにその場を明け渡しました。

ボン到着.jpg

 

一方のボンはかなり気に入ったようです。

豪快に葉っぱをちぎり、むしゃむしゃと食べています。完食です。

ボン良く食べる.jpg

 

プレゼントしたのがGW初日(4月29日)のことでしたので、ご来園いただいたみなさまにも楽しんでいただくことができました。

 

では、いただいたバナナを使って伝えたかった「ゾウとバナナの関係」とは?

私たちの食卓にあがる黄色いバナナは、もちろん野生のものを採ってきたわけではなく、畑で栽培しています。その畑は、ゾウの住む森を伐採して作られていることも多いのです。

ヤシ畑.jpg

(これはバナナではありませんが、アブラヤシの畑が川縁ギリギリまで進出し、ゾウの生活できるエリアが川沿いの狭い場所となっていることがわかります。

※撮影場所:ボルネオ島、撮影者:金沢動物園インドゾウ担当者)

 

これまでゾウの住処だった場所においしい食べ物があれば、ゾウが食べてしまうのは当たり前。そうして、栽培する現地の人々とゾウとの間に軋轢が生まれ、時には悲劇も起きてしまうのです。

荒らされた田んぼ.jpg

(田んぼが荒らされたことを説明している女性。困り顔が印象的。)

 

殺されたゾウ.jpg

(農作物を食べたり、田畑を荒らすことで毒などにより殺されたゾウ。

※上記2枚 撮影場所:インド、写真提供:NPO法人トラ・ゾウ保護基金)

  

同じ場所で同じ作物を長年育てていると、次第に生育不良となる連作障害が起こります。今回バナナをお譲りいただいたカネコ農園さんが、今年でバナナの栽培をおやめになるのは、そんなことも理由のひとつだそうです。

それを野生のゾウの暮らす、アジアやアフリカの森に置き換えて考えると、バナナの生育が悪くなった畑は放棄し、隣にある森の木を切り倒し、新しいバナナの畑を作る、ということになるのです。

バナナだけではありません。ポテトチップスやシャンプーなど、私たちの生活に欠かせないものの材料となるパーム油なども、その一つです。バナナやパーム油を絶対に食べないで!使わないで!という訳ではありません。カネコ農園さんのバナナは、当然、ゾウの住む森を切り開いて作っているわけではありません。みなさんがお買い物をする際、自分たちが買うものはどこからやって来て、どんな風に作られたのか、環境を破壊して、動物たちの暮らしを脅かしていないのか、考えたり調べたりしてもらえると嬉しいです。だからこのお話しは本当は、ゾウとバナナだけの関係ではなく、「ゾウとバナナと私たちの関係」になるのかもしれません。私たちの暮らしと、動物たちの暮らしがつながっていることを想像してお買い物をしてみませんか。(はんざわ)