更新日:2021.12.23【思い出の金沢動物園7】コアラとソマリノロバ漬けの日々
【思い出の金沢動物園7】コアラとソマリノロバ漬けの日々
神奈川県出身でない私にとって、横浜市の動物園は3園とも全く馴染みのない存在でした。もう時効だと思うので告白しますが、金沢動物園は初出勤日が初めての金沢動物園でした。
平成20年4月。当時の飼育係長に連れられて園内見学をしました。今思えば、係長は今後の展開を考えあえて重要そうに話していたのかもしれませんが、今以上に多くの動物種がいたにも関わらず、園内をぐるっと周り印象に残った動物はコアラとソマリノロバ。当時の私の安易な感想は...
「コアラはオーストラリアとのやり取りがなんだか大変そうだし、人気動物の責任もありそうで担当さんはさぞ大変なんだろうな、きっとベテラン飼育員がやっているんだろう、と。ソマリノロバはなかなか繁殖が上手くいっていないそうで、しかもメス個体は他園から借りているそう。これは責任重大だ。」でした。
そして運命の担当動物発表!もうお分かりですかね、まさかのコアラとソマリノロバ担当でした。しばし時が止まりました(笑)
そこからは、まずはルーチンを覚えるための怒涛の引き継ぎ期間があり、コアラとソマリノロバにどっぷり浸かった幸せな日々の始まりでした。
ソマリノロバは足に縞模様の入った、とても綺麗な体色をした野生のロバです。場所は現在のオカピ舎です。当時の様子がこちら。気立の良いアトム(オス)と優しいサクラ(メス)です。
その後アトムが亡くなり、繁殖契約が解除となったサクラを東山動植物園へ返し、金沢でのソマリノロバの飼育は終了しました。その最後に立ち会えたことは、良い経験となりました。最初の担当動物は思い入れもあり、引っ越したサクラに会いに東山へも何度か行きました。
そしてコアラです。
当時は今のようなコンクリートの床面ではなく、砂でした。重いユーカリポットを両手に持ち、崩れそうな砂山を登りながらのユーカリ交換はなかなかの重労働でした。
ユーカリの計量がなかなか終わらず、13:30のユーカリ交換に間に合いそうになく半ベソになってユーカリと格闘したことも、今では良い思い出です。当時のコアラたちです。屋内展示場にはメスが5頭。
最年長のチェリーおばあちゃん、大柄ですがゆったりとした動作が癒されました。
内気な美少女風のジューン
おっとりマイペースなヒマワリ
サンディエゴ動物園から来園した、意志強めなワミンダ
ワミンダの娘のソラ
オスは2頭。普段は1階の個室で飼育しており、屋外展示場に交代で出ていました。
ソラのイケメンお父さん、パイン
抱っこでの移動が好きではなかったので、個室から展示場への出入りは自分で歩いてもらっていました。
おおらかで愛嬌抜群なライタ
屋外でのガイドで大活躍でした。展示場のユーカリの木に登り回収が大変だったこともしばしば。来園者の皆さんに応援されながら回収したこともありました(笑)
その後幸せなことに、繁殖契約で来園したモミジ・ミリー・ユウキ、金沢で誕生してくれたテル、ウメ、バニラ、ワカ、ユイ、ハヤトと多くのコアラと関わる機会に恵まれました。担当になって初めて生まれ感動したテル。テルの子どもで、成長が遅かったのでコアラ用ミルクをあげたり治療をするなど、とにかく手がかかった分可愛かったバニラとユイ姉妹にも強い思い入れはありますが、
(バニラに目の治療とコアラミルクを給与中)
(ユイはミルク給与の他に、丈夫な骨を作るためバックヤードやユーカリ広場で日光浴をしていました。成獣になってちょっと澄ました顔やいたずらっ子の顔のユイも可愛らしいのですが、私の中ではユイはいつまでも小さくあどけないこの頃の姿が忘れらません)
ライタとの間にはそれを超える様々な出来事があり、また長い期間とその最後を一緒に過ごしたこともあり、今でも一番大好きなコアラです。スマホの待ち受けは今でもライタです。
(しばた)