更新日:2026.05.16『ズーラシアの歩き方~アジアの熱帯林編~』
『ズーラシアの歩き方~アジアの熱帯林編~』
ズーラシアは、1999年4月、日本で初めて「生息環境展示」を全面的に取り入れた全く新しい動物園として誕生し、今年で27周年を迎えました。
「生息環境展示」とは、動物の姿を見せるだけでなく、彼らが本来暮らしている自然環境を植物、地形に至るまで可能な限り忠実に再現する展示手法のことです。ズーラシアではさらに、その土地に暮らす人々の文化や民族的な背景までもが環境演出として組み込まれています。
園内が気候帯別に8つのゾーン(『アジアの熱帯林』『亜寒帯の森』『オセアニアの草原』『中央アジアの高地』『日本の山里』『アマゾンの密林』『アフリカの熱帯雨林』『アフリカのサバンナ』)に分かれているのはご存知の方が多いと思いますが、それぞれのエリアに「知られざる展示ストーリー」が隠されていることはご存じでしょうか?
これから『ズーラシアの歩き方』と題して、各ゾーンの展示ストーリーを順番にご紹介していきたいと思います。
今回は初回ということで、ズーラシアの玄関口、「アジアの熱帯林」ゾーンについてご紹介いたします。
このゾーンは、来園者が日常から離れ、アジアの自然環境へと没入できるよう、緻密なストーリーに基づいて設計されています。ゾーン全体は大きく5つのシーンに分かれており、順路を進むごとに景観が連続的に変化していくのが特徴です。
1「出会い」:日常と非日常の結節点
旅の始まりとなる「出会い」のシーンでは、アジアの人々の生活と深い関わり(使役、宗教等)のあるインドゾウが展示されています。
来園者のみなさまがこのゾーンで体験する展示へのワクワク感を作り出すために、インドゾウが棲む林辺の開けた場所から徐々に熱帯林の奥地へと分け入る雰囲気を作りだしています。

2 熱帯林の深部へ:林床から樹冠までを再現
ゾウが佇む開けた林縁部を抜けると、道は徐々に熱帯林の奥地へと繋がります。「導入部」(カンムリシロムク~ボウシテナガザル)から「クライマックス」(マレーバク~ウンピョウ)、そして「樹冠の世界」(オナガザル類)へと続く3つのシーンでは、林床から高い樹の上まで、熱帯雨林特有の立体的な空間の変化を体感できるようになっています。
また、ヤシ類などの特徴的な植栽に加え、ゾーンを貫く川の流れ(トラの水モートからオランウータンの水モートまでを結ぶ)で、現地の湿潤な空気感を再現しています。高床式の休憩所や木橋などの民族的意匠も相まって、あたかもアジアの密林を歩いているかのような臨場感を演出しています。
オランウータン前の流れ
高床式の休憩所
スマトラトラの観覧デッキ
園路(ウンピョウ~フランソワルトン)
ここでは、『アジアの熱帯林』ゾーンのトリビアをご紹介します。
<インドゾウ舎>
ゾウ舎は建物が高く園路から隠すことが出来ないため、見せることを前提として、インドの英国統治時代のインド建築をイメージしたレンガ造を模したものとなっています。また、レンガの積み方もイギリス式(長い面と短い面の段を交互に積み重ねる強度に優れた積み方)となっていますので、望遠レンズや双眼鏡をお持ちの方は来園された際に、ぜひ一度確かめてみてください。
ゾウ舎
イギリス式のレンガの積み方
次回は『亜寒帯の森』編です。お楽しみに!