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アフリカスミレを通しての写真

更新日:2022.06.30アフリカスミレを通して

更新日:2022.06.30

アフリカスミレを通して

言わずと知れた室内植物の女王『セントポーリア』。欧米でアフリカン・ヴァイオレットと呼ばれるのは、タンザニアやケニア原産で、スミレのような花を咲かせるからです。原種イオナンタスは、和名もそのままアフリカスミレといいます。「イオナンタス」もスミレのようなという意味です。スミレの仲間ではなく、日本の野山に生える「イワタバコ」の仲間になります。店先で見かけるこの植物、鉢花として普及しているのとは裏腹に、野生では世界で最も絶滅の恐れのある植物なのをご存じですか?

原種のひとつ、ストレプトカルパス・イオナンタス/Streptocarpus ionanthus。淡いブルーの一重の花が野性を感じさせます。↓

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以前は、セントポウリア・イオナンタ/Saintpaulia ionanthaと呼ばれていましたが、最近の分類では、セントポウリア属はストレプトカルパス属に含められました。歴史的には、イオナンタと他の数種が交配されて、多くの園芸品種が誕生し空前のブームを巻き起こしました。原種はすべて一重のブルー系の花なので、今の園芸品種の元になっているとは信じがたい変貌ぶりです。詳しいことを述べますと、イオナンタにもいくつかのタイプがありまして、この写真の個体は、名前の由来でもあるセントポール伯爵が最初にタンガで見つけたものとはちがいます。(また、分類が整理され、いままで別種だった多くが、イオナンタに含められました。)いずれにしても、自生地の開墾などにより野生の個体の数を減らし続けているアフリカスミレの仲間たち、このように身近な園芸植物を通して考えさせられることは、たくさんあります。