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伊藤博文と金沢別邸 豆知識シリーズNo.4 ~「愛蓮説金屏風」~の写真

更新日:2026.01.26伊藤博文と金沢別邸 豆知識シリーズNo.4 ~「愛蓮説金屏風」~

更新日:2026.01.26

伊藤博文と金沢別邸 豆知識シリーズNo.4 ~「愛蓮説金屏風」~

当館で展示している「愛蓮説金屏風」のご紹介です。

この屏風の書は、伊藤博文が明治34年に書いたもので、中国宋代の宋学の始祖といわれる
周 敦頥(しゅう とんい)の「愛蓮説」という漢詩です。

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  【愛蓮説 原文】
 水陸草木之花 可愛者甚蕃
 晋陶淵明獨愛菊
 自李唐來 世人甚愛牡丹
 予獨愛蓮之出淤泥而不染 濯清漣而不妖
 中通外直 不蔓不枝

 香遠益清 亭亭淨植 可遠觀而不可褻玩焉
 予謂  菊 花之隱逸者也 
    牡丹 花之富貴者也 
     蓮 花之君子者也
 噫 菊之愛 陶後鮮有聞
 蓮之愛 同予者何人 牡丹之愛 宜乎眾矣 


「水陸草木の花を愛するものは多くいる、普の陶淵明(とう えんめい)は菊を愛し、
李や唐より来る世人は牡丹を愛するが、私は蓮の花の水底の泥より出ても染まらず、
真直ぐに清く、遠くから眺める事はできても手に取って弄ぶことのできないところを愛する。
私が考えるところでは、菊の花は隠逸なる者なり。牡丹は富貴なる者なり。蓮は花の君子たる者なり。」
という内容です。


近代化を目指した明治の指導者の思想的背景が窺えるものといえ、常に天皇への忠義を忘れずに、国の為に至誠を貫こうとする博文の気持ちをよく表しています。

最後に 明治辛丑八月書於 金澤別業 春畝山人博文 と書かれています。
「明治辛丑(めいじかのとうし)」とは、明治34年(西暦1901年)のことです。これは日本の元号である「明治」と、干支(えと)の「辛丑(かのとうし)」を組み合わせた呼び方です。ちなみに明治34年は、金沢別邸が建てられた3年後になります。
「金澤別業」とは、ここ 金沢別邸で書かれた ことを意味します。
「春畝(しゅんぽ)」は博文の号です。

博文の書は、全体として非常に端正で、実務的かつ読みやすい楷書体が多いようです。
官僚や宰相として多くの公式文書や書簡を自筆していたため、書には「政治家らしい整然さ」と「責任感の重み」が感じられると評されています。
博文は、青年期に吉田松陰の松下村塾で学び、儒学や漢詩文に親しんでいました。
そのためか、書風にも古典的な中国書法の影響が見られます。

屏風は館内にて展示しています。
※当館に展示されている屏風はレプリカです。 オリジナルは神奈川県立金沢文庫 所蔵。

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旧伊藤博文金沢別邸(横浜市指定有形文化財)