更新日:2026.10.08伊藤博文と金沢別邸 豆知識シリーズNo.12 ~金沢別邸の窓ガラス~
更新日:2026.10.08
伊藤博文と金沢別邸 豆知識シリーズNo.12 ~金沢別邸の窓ガラス~
旧伊藤博文金沢別邸の客間から海を望む大きな窓には、建築当初からガラスがはめ込まれています。
このガラスは、「手吹円筒法」で作られた板ガラスで、ベルギーから船で輸入したものと言われています。
別邸建築当時(明治31年)の日本では、まだ板ガラスを作る技術がありませんでした。
国内で板ガラスの生産が成功したのは、明治42年(1909年)に、旭硝子(現AGC)が ベルギーの技術を導入して手吹円筒法を採用したのが最初です。
建築後の破損により何枚かは入れ替えられていますが、大部分は建築当時のものが現在も残っています。
♦手吹きのガラス製造で、「板ガラス」を作成する手順♦
1.吹く : 職人が息を吹き込み、長い円筒状のガラスを作ります。
2.切る : 円筒の両端を切り落とします。
3.開く : この円筒をいったん冷ました後、縦方向に切れ目を入れます。
4.広げる : 再び加熱炉に入れ、ガラスが柔らかくなったところで、その自重と表面張力を利用して
ペタンと平らな板状に開きます。
こうしてできた板ガラスは、厚さが均一ではなく、製造過程で入る小さな気泡や微細な歪みが残ります。
これが、古い建物に残るガラス特有の「ゆらゆら」とした風合いを生み出している理由です。
旧伊藤博文金沢別邸のガラス越しに広がる金沢八景の海の風景は、歪みや気泡によって光がほのかに屈折し、柔らかく、どこか懐かしい表情を見せてくれます。
その景色は、当時の伊藤博文公も眺めたであろう、明治の時代へと誘う眺めなのです。
旧伊藤博文金沢別邸(横浜市指定有形文化財)