
更新日:2025.09.01カグーの羽事情 【前編】
カグーの羽事情 【前編】
カグー担当である私は、最近あるものをせっせと集めていました。
それはカグーの羽根です!
換羽期が6月頃で、新しく羽が生え変わるため、その時期は獣舎の中に羽根がたくさん抜け落ちていました。
カグーそのものを毎日じっくり見ていても、抜け落ちた羽根だけを見ると、この大きさでこの形の羽根はどこの部分に生えていたものなのか、実際パッと見てすぐに分からないものもありました。
大きいハトみたいと言われることがあるカグーですが、こんな色の羽も生えているんだ!と皆さんも知らないであろうカグーの羽事情を、私の集めた羽根の中からピックアップしてお話したいと思います。
ミドリンに協力を依頼したところ、案の定何をしようとしているんだと警戒されたため、積極的に協力してくれたムラリンと照らし合わせながら確かめました。
まずこちら
カグーといえば、ここの羽を逆立てる姿が印象的ですが、どこの羽根かというと...
頭です!
(この時のみ、ミドリンも協力してくれました😊)
この頭の羽は冠羽といい、カグーは求愛や威嚇をする時に冠羽を逆立ててディスプレイを行います。細長く、長さは5~8㎝、色は体の色と同じ灰青色で、本数は個体差もあると思いますが、30本前後ありました。自己主張するのに大事な部分で自在に寝かせたり、立たせたりできます。冠羽の役割は生活環境や習性などにより異なる部分もありますが、飛べない鳥カグーの冠羽は地上で自分を大きく見せる、つまり強く見せるための武器にもなっています。
次はこちら
この羽根をよーく見ると黒い点々が付いていますね。色が少し薄いのがヒントですがどこの羽根かというと...
胸からお腹付近です!
カグーの胸からお腹にかけての羽は、他の部分に比べて薄い色で、私も絵を描いた時に、体の色に対して白を足して塗っていました。
ただ皆さん、このように黒い点々があったのは初めて知ったのでは!? よく見ると少しクリーム色をしていて、羽根の基部は黒っぽくなっていて、一色ではないのです。
これは抜け落ちた羽根だからこそ分かったポイントで、この羽が密集していると、先端の広がる部分しか見えません。
ちなみにこのお腹付近の羽も威嚇や求愛をする時に逆立って、更に大きく膨らんでいるように見えます。
この時はミドリンだけお腹の羽を逆立てていますね。
そして次はこちらです
これまで紹介した羽根の中で一番長く、羽軸がしっかりしていますね。こちら二本並べてあるのですが、どこの羽根かというと...
どちらも翼の羽です!
全体的に灰色な右側の羽根は、次列風切り羽といって、翼の中央部分に生えていて、滑空や上昇する時に役立ちます。ハトやキジ類だと12~16枚ですが、ムラリンは7~8枚と飛べる鳥よりもやや少ない傾向があるようです。
全体的に白くて、茶色や黒いラインも入った左側の羽根は、初列風切り羽といって、最も外側にある長くて硬い羽です。鳥によって枚数は異なりますが、8~12枚ほどです。ムラリンは9~10枚ありました。初列風切り羽は飛ぶ際に、風を送るのに欠かせない羽です。カグーは飛ぶことができないので、構造的には飛ぶのに適した形ではなく、機能も退化しています。しかし、こんな目立つ羽が、どの辺に生えているか気になりますよね。
実は、羽を広げた時にしか見えない部分に生えているのです。
ではどんな時に広げるかというと敵やライバルへの威嚇や求愛する時に広げます。白黒の初列風切を扇のように見せることで、相手に強いインパクトを与えることができるということです。
ただ、担当している私が見る限り、冠羽と用途は同じでも翼を広げる姿は滅多に見ません。
カグーは飛べなくてもジャンプすることはできるので、その時は一瞬ですが見えます。他に、私がジャンプ以外で見たことあるシーンは二つあって、一つ目は不安定なところでバランスをとる時です。その際は私たちが腕を広げてバランスをとるのと同じで、広げて落ちないようにしていました。
二つ目は餌の取り合いになった時です。前回のミドリンとムラリンのお誕生日ブログでお伝えした通り、餌の時間は取り合いにならないように部屋を分けて与えているのですが、おこぼれがあった時に二羽がそばにいると、俺のだ俺のだ!と翼を広げて威嚇し、取り合いになります。実際それで二羽が怪我したことはないのですが、仲が悪くなってしまっても嫌なので、そうならないようにミドリン、ムラリン気を付けるね。
ということで話していたら長くなってしまったので、また後編でカグーのもつ特殊な羽毛構造についてお話したいと思います!
ミドリン、ムラリン担当 キクリン