
更新日:2025.07.08【飼育展示係長の野毛山日記①】 カナダガンのガンコ
【飼育展示係長の野毛山日記①】 カナダガンのガンコ
みなさん、こんにちは!
今年の3月までチンパンジーの担当をしていた伊原です。
4月より野毛山動物園の飼育展示係長になりました。
これまでは、ブログ【みらいを見つめるチンパンジー】でチンパンジーたちの日常をお伝えしてきましたが、今後は、ブログ【飼育展示係長の野毛山日記】として、野毛山動物園に暮らす様々な動物たちのことや、動物園の日常をみなさんにお届けできればと思っています。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします!
さて、記念すべき?第一回目は、野毛山動物園で暮らす動物の中でも、個人的に特別な思い入れのある、カナダガンについてのお話です。
ちなみにこのカナダガン、いつのまにやら職員たちの間で「ガンコちゃん」と呼ばれるようになっていたので、今回はその名前でお伝えさせていただきます。
私は、平成27年4月、大池で飼育されていたガンコの飼育に関わることになりました。
現在は鳥インフルエンザ感染防止のため、鳥類の展示は行っていない野毛山動物園の大池ですが、当時は今ほど鳥インフルエンザの脅威は高くなく、数種類のガンカモ類が飼育されており、季節によっては多くの野鳥も飛来していました。
上の写真の中央、右脚に黄色の脚環を付けているのが当時のガンコです。(足環の色は現在も変わっていません。)
ご覧のように、昔はカナダガンも複数羽飼育していたのですが、残念ながら順次死亡し、カナダガンはガンコ1羽だけとなってしまいました。
そんな折、平成29年に鳥インフルエンザの大流行が起こります。
国内の動物園でも鳥インフルエンザが発生し、大池の鳥たちも感染防止のため、園内だけでなく、よこはま動物園ズーラシアの屋内施設にも避難しました。
ちなみに、この場所はズーラシアの元飼育員事務所内に設けた臨時の避難場所です。
私は当時、ガンコをはじめとする野毛山動物園から一時避難している鳥たちの世話をするため、ズーラシアに赴いていました。
鳥インフルエンザが収束するまでの数か月の間、ガンコとズーラシアで過ごした縁もあり、ガンコには深い思い入れがあります。
またこの時期、野毛山動物園のペンギンたちは、なんとズーラシアの元飼育員用風呂場に避難していました!
とても不思議な光景ですが、今となっては懐かしい思い出です。
さて、やっと鳥インフルエンザが春先に終息し、元の住処に戻ってきたと思ったら、その年の秋ごろにはまた流行が始まり、毎年避難を繰り返していたガンコ。
さらに、特定外来生物に関する法律によって大池での飼育ができなくなってからは、完全にバックヤードでの生活を送っていたガンコですが、
このたび、飼育場所変更許可申請が環境省に受理され、バードケージでの飼育が可能となったため、久々に皆さんの前に戻って参りました!
これまで幾度の避難生活を、持ち前の体力と精神力の強さで乗り切ってきたガンコ。
ずいぶん昔からそこにいたような貫録を、すでにバードケージで漂わせております。
野毛山動物園に来園してから15年が経過したガンコ。
カナダガンとしてはかなり高齢の域に達していますが、まだまだ元気にのんびりと、当園で暮らしてもらえたらと願っています。
皆さんもそんなガンコに、是非会いに来てください!
(飼育展示係長 伊原)