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道端で、春めいて、気をつけての写真

更新日:2024.05.05道端で、春めいて、気をつけて

更新日:2024.05.05

道端で、春めいて、気をつけて

4月某日

病院に今年度初めてのお客様がきました。

やってきた赤ちゃん

どなたかわかりますか?

 

野毛山動物園の過去のブログを見てみると似た写真が何件か出てきます。

目も開いていません

そう、タヌキの子です。アライグマじゃありません。

(神奈川県の傷病鳥獣保護事業ではアライグマとハクビシンの受け入れは行っていません)

 

詳しくはお話しできませんが臍帯が付いた状態で運び込まれてきました。

恐らく生まれて1日あるかないか。

 

動きはよく、栄養状態も悪くなさそうでしたが、入院1日目はほとんどミルクを飲まず。

翌朝かなり心配しながら出勤しました。

2日目からようやくミルクを飲むようになり、胎便(出生後に出る黒色の便)も出ました。

タヌキの胎便

本格的に人口哺乳が始まりましたが、飼育員経験がまだまだ浅い私は人口哺乳自体初めての経験で、

勉強になることばかりです。

ミルクを飲んでいるところ哺乳も慣れてきました

(上の写真は慣れてきたころのもの)

ベクトルは全然違うけど、ともに成長しよう。

 

さて、このブログを投稿したのは何もタヌキがかわいいから(だけ)ではありません。

この時期、つまり春先はいきものの赤ちゃん誕生シーズンです。

哺乳類も鳥類もそうですが、未熟で世界を知らない生き物たちが

無防備に道に落ちていることあるあるの時期にあたります。
オナガの雛
写真は昨年度保護されたオナガの雛。

 

ここで伝えたいのは、むやみに拾ったりしないでくださいね!というお願いです。

われわれ人間の目に付く場所に赤ちゃんがいたとき、

きっとそばに気配を消して様子をうかがう親がいるはず。

拾ってしまうと親たちは子を失うことになってしまいます。

その赤ちゃんが動物病院や動物園に運び込まれても正常に成長する確率はかなり低いですし、

正直な話、野生復帰も難しいのです。

彼らが彼ららしく生きられるよう、いきものの赤ちゃんを見つけても、

なるべくそっとしておいてあげてくださいね。


ですが、命を助けてあげたいという気持ちはとても素晴らしいことです!

もし、いきものたちのSOSに遭遇した時は近くの動物園に相談してみてください。
目が開きました
またタヌキのブログを投稿できることを祈って。

 

傷病鳥獣担当