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ハンカチノキの写真

更新日:2018.04.17ハンカチノキ

更新日:2018.04.17

ハンカチノキ

サクラのシーズンも今年は駆け足で過ぎ去り、名残りを惜しむ間もありませんでした。今春はどの植物も例年になく開花が早まっています。

公園内は日に日に緑が濃くなって、もう初夏の風情がただよってきました。

今回は、バーベキュー場管理棟の前で開き始めたハンカチノキの「花」をご紹介しましょう。

ha20180412-1写真1.jpgハンカチノキの「花」

ハンカチノキは、中国南西部の標高2000メートル付近の山地に局限して自生する落葉高木です。

過去に出土した化石から、かつてはベーリング海峡を隔てて北アメリカにも分布していたことがわかっていますが、こちらはいつの頃か絶滅してしまいました。その記録は少なくとも5800万年前までさかのぼることができるということで、メタセコイヤと共に「生きた化石」と呼ばれる、一属一種の大変珍しい植物です。

ha20180412-2写真2.jpg開き始めは花序が見えないと葉っぱと区別が難しいくらいです。

19世紀後半にフランス人宣教師にして博物学者のアルマン・ダヴィッドによって初めてヨーロッパに紹介されました。今、動物園で大人気のジャイアントパンダの存在を初めて報告したのも彼だということは案外知られていません。

ha20180412-3写真3.jpg苞が大きくなるにつれて色が白く変わりはじめました。

ハンカチノキは文字通り、ハンカチのような白い「花」をつけます。その特異な形状から「幽霊の木」とか「鳩の木」と呼ばれることもあります。

「花」は長い柄の先に、たくさんの雄花と雌花が球状の花序になり、その基部に2枚の白い花弁のような苞片がくっついています。これは葉が変化したもので、ハナミズキの苞と同じものと思えばいいでしょう。

ha20180412-4写真4.jpgこれはハナミズキ 直径5ミリくらいの4弁の花が真中にかたまっています。

苞は最初のうちは黄緑色ですが、徐々に大きくなり、一週間前後で完全に展開して、見頃を迎えます。

ha20180412-5写真5.jpgハンカチの完成! 葉脈や鋸歯らしきものも見えます。

ハンカチノキの葉はガマズミによく似ていて、葉脈のパターンもほとんど同じです。特に若葉の頃はふちが赤みを帯びてみずみずしく、とても美しいものです。

ha20180412-6写真6.jpgハンカチノキの葉  

ha20180412-7写真7.jpgガマズミの葉

秋になると、ちょっとクルミに似た感じの堅い実がなります。これをそのまま蒔くと、春には一個の実から何本もの芽が出てきます。これはミカンのタネを蒔いた時に見られる多胎と同じ現象ですね。

筆者の経験では、発芽率はあまりよくなく(タネを蒔くまでの保存状態が悪かったのかしら?)、うまく育っても開花するまで6~7年かかり、花付きも木によってバラツキが生じました。それでも、「待てば海路の日和あり」、初めての花を見る時のわくわく感って本当に楽しいものです。 市中では、木が小さいうちから咲き出す性質を持った品種が接ぎ木で売られています。

くだんのハンカチノキは上に大きな木が覆いかぶさって暗かったせいか、木肌をタイワンリスにかじられたせいか、昨年はあまり元気がありませんでした。木の上のほうで枝枯れを起こし、花もちらりほらりと頼りなげでしたが、今年はずいぶんと花芽をつけています。

ha20180412-8写真8.jpg

4月11日に高所作業車が入って、周りの木の枝を払ったので周囲はずいぶん明るくなりました。これで、また元気を取り戻してくれればなあと思います。

草花を愛でつつ、散策するにはもってこいの季節になりました。ぜひ、金沢自然公園にお越しください。

(担当:マグノリア)