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立派なツノを見てくださいの写真

更新日:2022.03.18立派なツノを見てください

更新日:2022.03.18

立派なツノを見てください

この度、オオツノヒツジ展示場を見下ろすことができる展望デッキの入り口の脇に、オオツノヒツジのオスの頭骨(実物)を常設設置しました。

頭骨設置しました.jpg

頭骨をアップでご覧ください。

頭骨のアップ.jpg

この立派なツノの持ち主は2019年6月に15歳8カ月で死亡したオスのグランです。

グランが死亡した時、追悼記事を書くことができず、今日にいたってしまいました。
少しだけ、グランの思い出を書きたいと思います。

私がオオツノヒツジの担当になったのは2019年4月。オスは割と若い個体が多く、元気いっぱいのにぎやかな群れでした。
その中に、15歳という高齢のオスが1頭。それがグランでした。

グラン.jpg

(15歳のグラン。ツノも毛並みも年齢を感じます。)

高齢の為、少し足が悪く、食べるスピードも遅かったため、夜間は個室で暮らしていました。
性格も穏やかで、他のオスたちと争うこともありませんでした。展示場で過ごす日中も、他のオスたちと離れてのんびりと昼寝をしてすごしていることが多かったです。

リーダー争いとは無縁の穏やかなグランは、13歳まで繁殖対象のオスになることはありませんでしたが、血縁関係を考え、14歳で初めての繁殖に挑み、翌年の2019年5月に、リンタロウ(オス)が誕生しました。

グランさんとリンちゃん.jpg

(グランと生後2週間のリンタロウ。リンタロウはグランのそばで過ごすことも多かったです。)

天候が悪い日は、グランは息子のリンタロウと、リンタロウの母親のコハルの3頭で、サブ展示場で穏やかに過ごしていました。

親子ショット.jpg

(雨の日の家族ショット。グラン(右)と、授乳中のコハルとリンタロウ。)

リンタロウがグランの周りをチョコチョコと動きまわっていても、特に気にすることもなく優しく見守っていました。

展示場の家族ショット.jpg

(展示場でのグラン一家。3頭一緒に近くで過ごしていることも多かったです。)

グランが亡くなった日の朝。いつものように他のオスたちが展示場に出かけた後、一番最後にゆっくりと出ていきました。
サブ展示場から岩山の展示場に出ると、珍しく振り返り、サブ展示場にいるこちらをジーっと見ていました。
「行っておいで。」と声をかけると、グランは、ゆっくりと展示場へと出かけていきました。
その日の夕方、グランは旅立ちました。

のんびり、穏やかな性格だったグラン。担当になって間もない私にも攻撃することなく、協力的だったグラン。遅くなったけど、長い間お疲れさまでした。ありがとう、グラン。

15年8カ月という長い年月がこの立派なツノの歴史でもあります。
グランのツノは横に広がって伸びていました。

凛々しいグラン.jpg

(横に広がるように生えていたグラン。)

ツノの伸びる角度や太さも、個体によって違います。
グランの息子のリンタロウのツノは、父親に似て横に広がっています。最近、リンタロウを見ると「グランに似ているなぁ。」と思うことがあります。

大きくなったリンタロウ.jpg

(現在のリンタロウ。2歳10カ月になり、ツノも立派に成長中です。)

頭骨は、オス群れが暮らす岩山の展示場のてっぺんが良く見える場所に展示をしています。
岩山のてっぺんにオスがいるときは、ぜひ見比べてみてください。

頭骨超しのリンちゃん.jpg

(頭骨越しに見えるのはリンタロウです。)

ツノの生え方や口の中の様子など、頭骨で見ないとわからないことがあります。
実物の頭骨を見ていただく機会は、そう多くないと思いますので、じっくり観察していただきたいと思います。

さとう