旧円通寺客殿で過ごす、贅沢な時間

金沢八景権現山公園の中にある旧円通寺客殿は、江戸時代後期に建てられたとされる茅葺屋根が特徴の歴史的な建物です。

当時の建材を活かしたこの貴重な建物を管理するにあたって、私たち職員は毎日掃除を丁寧におこなっています。

古い板の間は、手ぬぐいで乾拭きをしたあと、仕上げに糠で拭きあげます。

すると、糠の油分が板に薄くのびて自然なつやを出すように輝くのです。

長い年月をかけて磨かれてきたこの板材は、深く静かな光を返すような得も言われぬ照りがあります。

この美しさを感じるのには、特に午前中の時間帯がおすすめです。

中庭の緑が朝日を受けてまぶしく輝き、その光が磨かれた床に反射して、部屋全体が萌黄色に包まれます。襖の紙までもがほのかに色が変わったように見えるのです。

 

写真では伝えきれないこの美しさをぜひ皆様に体験していただきたいと、毎朝の掃除のたびに感じています。

（金沢こまち）

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